たいていの任売物件は修繕やリフォームが必要
任意売却の場合、インカムゲイン狙いにするのか、キャピタルゲイン狙いにするのかは、購入した物件に住人が購入後も住み続けるのかどうかによっても変わってきます。元の住人が、任意売却後も住み続けるというのであれば、とりあえずは新しい住人を探すための修繕費とかリフォーム代は必要ありませんから、そのまま賃貸住宅として住んでもらえばいいわけです。
ただし、マンションの場合、管理組合に収める管理費や修繕積立金は、新しく大家になった物件の購入者側が支払わなければならないかもしれません。事前にきちんと決めておくことが大切でしょう。
一方、任売物件の中には、当然ながら家賃が払えないといった理由で、退去していくケースがあります。そういう物件を購入するときには、新しい入居者を探して家賃収入=インカムゲインを得ていくかあるいは、大幅にリフォームして早々に転売して売買益=キャピタルゲインを獲得するかどちらかを選択する必要があります。
ひとつだけ注意したいのは任意売却の場合、ローン破綻の末の退去というケースが多く、部屋の中が荒れ放題になっていることもあります。そういう場合は、部屋の中をクリーンにしてから、他の賃借人を探す必要があり、思わぬ経費がかかるかもしれません。手間も、コストもかからないのは、これまでの住民がそのまま継続して住み続けるときだけであって、規模の大小はありますが、何らかの形で修繕やリフォームが必要だということです。
築年数にもよりますが、キッチンの水回りとか、トイレやバスはどうしても、取り換えるとかクリーンアップする必要があります。そういう意味では、購入するときにこうしたコストをある程度は想定しておく必要があります。比較的経費がかかるので、築後年数のことなども考慮に入れて、投資したほうがいいでしょう。
高値で売るコツは「転売直前」の大規模リフォーム
任売物件の最大の特徴は、安く買えることだ、とこれまで何度も指摘してきました。安く買えるということは、言い換えればリフォームや修繕にお金をかけられることを意味しています。たとえば、Aさんは、親戚に不動産業界の人がいて、その親戚から任売物件だが買わないか、という打診を受けました。任意売却のローン破綻のほうは比較的軽度なもので、権利関係はクリアできているそうです。
ただし、問題なのは建物が「違法建築」の状態で、大規模なリフォームが可能なのかどうかが問題になる、という話でした。そうした訳あり物件ですが、驚いたのは物件価格でした。周辺の市場価格では一戸建て中古住宅の場合でも、この土地の広さなどからすると4000万円はくだらない物件でしたが、時間がないということで、1500万円も安い2500万円だというのです。
もともと3500万円程度の投資用不動産物件を探していたAさんは、すぐに購入して、自分でリフォームのための建築士からリノベーション業者まで探してきて、購入から半年でリフォームを完成させてしまいました。リフォームにかかったお金は、およそ800万円でしたが、それでもまだ200万円の余裕がありました。
しかも、思い切ったリフォームが功を奏して、地元の不動産業者に査定してもらったら、4000万円以上は確実と言われました。こうしたケースでもわかるように、任売物件であれば、リノベーションにかける資金に余裕があるために、思い切った改築ができ、物件の価値を高められるのです。
不動産投資の場合はマイホームの購入と異なり、永住するわけではないのでいずれは転売することになります。難しいのが転売の時期ですが、この転売が成功するかどうかのカギが「リフォーム」だといえるでしょう。
できれば、大規模なリフォームをして、新品同様に「お化粧」して転売するのがベストで、我々不動産投資のプロは、このリフォームをタイミングよく実施して、より高く転売できる工夫をしています。そういう意味では、管理や細かな修繕に気を使うよりも、転売直前の大規模リフォームが重要だと考えていいでしょう。