日中に襲われる強烈な眠気、会議中あるいは作業中に意識が飛ぶような感覚。多くの人が日常で感じているこれらの症状のなかに、単なる眠気や疲れとして見過ごせない、深刻な問題が潜んでいるケースがあるのです。スタンフォード大学医学部教授が、睡眠トラブルの問題について警告します。※本記事は、スタンフォード大学医学部教授・西野精治氏の著書『スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣』(PHP研究所)より抜粋・再編集したものです。

「自分はどの時間帯を最優先させたいか」を考える

普段、ラボに通っているときの私の生活は、きわめてシンプルです。夜10時ごろ寝て、朝5時ごろ起きます。起きたら、朝食を摂って、6時前ぐらいには自宅を出ます。ラフなスタイルで出かけるので、身支度にもほとんど時間がかかりません。研究室まで約15分。職住近接なので非常に楽です。

 

ラボのほかの人たちが出てくるのは9時ごろなので、それまでの約3時間はひとりで集中して仕事にとりかかれます。昔は電話がかかってきたりしましたが、いまは必要な連絡はメールになったおかげで、電話もほとんど鳴りませんから、とても静かで集中できます。

 

私は、自分の1日で、この朝の3時間がいちばん仕事のはかどる時間だとわかっているので、この時間は絶対に確保したいのです。

 

そこを犠牲にしないため、そして7時間の睡眠を確保するために、夜も早めに寝ます。自分はどの時間帯を最優先させたいのかを考えると、そのためには「これはやらない」ということも絞りやすくなります。

終了時間未定の会議なんて、アメリカでは考えられない

睡眠の話から少し逸れてしまいますが、日本の大学の産学連携プロジェクトに関係して驚いたことがあります。会議が午後1時からスタートするのですが、終わる時間の指定がなく、毎回、4時、5時まで延々とつづくのです。

 

意見が白熱して長引くというのならわかりますが、わりと形式的な発表のようなことが多く、ただ聞いているだけで退屈な部分もあります。とにかく時間の長さに閉口しました。

 

ある日本の大学教授は、「うちの学内で行われている大学運営のための会議はもっと長いです。朝から一日中会議の日もあります」とぼやいておられました。

 

終わる時間が決まっていない会議というのは、アメリカでは考えられません。スタンフォードで私が関係している会議は、たいてい1時間以内で終わります。1時間の予定だったけれど、予定より早く終わるということもよくあります。

 

終わりの見えないダラダラ会議、あなたの会社でもやっていませんか? みんな忙しいわけですから、やたらと長い会議をやめれば、全員の時間が効率化します。

 

会議は、終了時間をはっきり決めましょう。その時間内で終わらせなければいけないとなったら、優先順位の高い大事なことから、どんどん決めていくようになります。

 

関わっている全員が必ず出席すべきということではなく、「その人が発言しなくても何も問題がないような議案のときには、出なくていい」というような自由度をもたせたほうがいいとも思います。

 

自分はあまり関係ないような、意見を言う必要もないような会議だから、居眠りしてしまう人が出るのです。自主性を尊重することで、自分が出る必要があると思って出るようにすると、会議中に居眠りをすることはなくなるでしょう。

 

そうすることで、自分が関わっている案件に対しての取り組み姿勢も変わり、仕事にメリハリや自覚も出ます。結果的にパフォーマンスは高まるはずです。

 

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スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣

スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣

西野 精治

PHP研究所

睡眠とは単なる休息ではなく、あらゆる生命現象の基盤である―。世界最高峰といわれるスタンフォード大学睡眠生体リズム研究所所長が、「脳の老廃物を洗い流す『グリンパティック・システム』」などの睡眠研究の最前線から、「…

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