リモートワーク増で、家事に参加する男性が増加
そのような状況のなかで起きた、新型コロナウイルス感染症。私たちの生活意識、行動にもさまざまな変化をもたらしました。そのひとつが、「結婚観」です。
今年6月、内閣府が調査結果を発表した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」によると、5割弱が「家族の重要性を意識するようになった」と回答(図表2)。そして結婚への関心に対して、22%が「高くなった」「やや高くなった」と答え、「低くなった」「なくなった」と回答した7%を大きく上回りました(図表3)。
少子化対応のひとつに「婚姻率の改善」があげられているので、これはプラスの傾向だといえるでしょう。
このような状況、日本人であれば、つい最近、体験したと感じることでしょう。2011年、東日本大震災。このときも、人々は震災をきっかけに人間関係の優先順位を見直し、関係性を再構築しようとしました。結婚への意識にも変化が生じたのです。
しかし厚生労働省の人口動態統計によると、震災のあった2011年の婚姻率は66万1895組と、前年に比べて3万組近く減少しました。不安感だけでは、実際に結婚という行動に結びつくことはない、ということを証明したのです。
しかし、「コロナ婚」と「震災婚」、似たようなものでありながら、まったく異なる側面をもっています。
それはリモートワークの浸透です。東京では、緊急事態宣言発令中、5割近い企業がリモートワークを実施しました。さらに家事・育児に関する夫婦の役割分担について「夫の役割が増加した」と回答したのが26%。妻の役割増加と回答したのが16%で、約10ポイント近く、夫の役割増が上回りました。さらに男性の働き方に変化が生じたと回答した人に限ると、夫の役割増が31%まで上昇。コロナ禍によって、男性の家事参加が進んだわけです(図表4)。
震災婚では、男性に変化はありませんでした。男性が家事や子育てに積極的に参加するようになれば、女性も「もう一人」の余裕が出てきます。出生率の上昇が期待できる、というわけなのです。