業績不振の会社は売れない、というのは常識のひとつですが、M&Aの世界では、業績が振るわなくても意外に「買い手」がつく会社や事業があります。今回は、その一端をご紹介します。

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数字の評価だけでなく、「定性評価」に目を向けると・・・

ここ最近、業績不振の会社でも買い手がつくケースが少しずつ増えてきました。通常のM&Aにおいては「定量評価」といわれる数字面の評価が重要視されますが、多くの中小企業の決算数字はいまひとつです。しかし、決算書の数字だけでは見えてこない「定性評価」に目を向けると、意外な事業価値に気づかされることがあります。

 

このような目線での投資は、買い手の主観によって価値が大きく変わってきます。事例も増えており、定性評価で判断する投資家の層が厚くなってきているのを肌で感じます。そこで、いくつかの事例を紹介しながら、今後の動向について考察していきます。

 

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◆無住職の空き寺が人気の理由

 

ご多分にもれず、寺院・神社も後継者不足の問題に直面しています。2017年の「宗教年鑑」(文化庁統計)によれば、お寺は全国に7.4万ほど存在します。檀家離れ、葬儀の簡略化、法事の減少等の影響で年々その数は減少し、既に住職不在の「空き寺」は1万~2万にのぼるといわれています。

 

現在、筆者は、無住職で既に廃寺となっているお寺の外部承継の手続きを進めています。空き寺となって数年が経ち、参道も本堂も少し荒れていた状態でしたが、ストーリー性がある歴史や風光明媚なロケーションが評価されたのか、数名の方が買い手としてエントリーされました。

 

買い手ニーズは経営者が集う「道場」にしたい、瞑想等を組み合わせた「簡易宿泊所」にしたい、純粋に社会貢献活動の普及において「宗教法人」を活用したい等それぞれです。売却側としても決して高値は望んでおらず、手が届きやすい価格設定でした。譲渡後の設備投資や運転資金の確保がしやすく、買い手側にもリスクが少ない投資案件となっています。

 

廃寺を買い取る業者の目論見は、様々だ。 (写真はイメージです/PIXTA)
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◆地味な飲食フランチャイズ店舗

 

東京駅から電車で一時間ほどの、私鉄沿線にある店舗にようやく買い手が見つかりました。赤字ではありませんが、業績がとりたてて良いわけでもありません。そのような理由から、なかなか買い手候補が現れませんでした。

 

ただし、この案件は新規に飲食事業に参入する方にとっては多くの隠れた「定性面」のメリットがあり、それを見出した投資家が譲渡を受けました。ポイントとしては、長年の営業で採用や調理手法がマニュアル化していたこと、特定社員に依存せずアルバイト中心で店舗が回せる体制になっていたことでした。

 

また、買い手が飲食初心者ということもあり、前オーナーが最低一年ほど、買い手の後ろ盾となる「サポート契約オプション」もつくことになりました。数字や立地をみれば、魅力のある案件ではありませんでしたが、数字には出てこない採用・調理ノウハウ、前オーナーの経験、ノウハウを承継できることになったケースです。

「業績低迷の要因」を探り、改善余地を判断

◆介護系の資格認定事業

 

ある教育系団体が立ち上げたものの、ノウハウの欠如によりマーケティング戦略を誤り、ニーズ先への訴求に失敗していました。ただし、コンテンツ内容は優れたものであり、1年以上の時間をかけ、著名な教授による監修を受けたものでした。また、対象分野は市場成長性が高いわりには、競合が少ないものです。

 

開発会社ではこれ以上、事業を伸ばせる見込みはないと判断し、やる気があり、時間、必要資金を用意できる方に譲渡することになりました。過去の販売実績などを見ると、手を出しにくい事業ではありますが、「低迷理由」に買い手が納得し、伸ばす自信さえあれば関係者にとってもハッピーなはずです。

 

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◆老舗の菓子メーカー

 

現在進行中の案件で、現状の課題などを見える化し、テストマーケティングをしている最中です。筆者と売り手はもう20年近い付き合いで、ある意味やりにくいのですが、客観的に分析してみると以下のような資産が見えてきました。

 

半世紀以上の業歴、根強いファンと商品認知度、特殊な製造技術とそれを実現する機械設備、キャパシティの高い食品工場等です。一方で、弱みは販売体制や資金面にあり、自社では解決が難しい状況と判断しました。

 

おそらく、主観的な目線でこの企業の価値を見出す先は、販売面で自信があり、さらに周辺商品の開発に自信がある先だと思います。スモールM&Aの成功要因のひとつですが、不足している凹凸部分をうまく補える買い手であれば、事業を伸ばすことができるでしょう。

 

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