8月のユーロ圏PMIは市場予想を下回る

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ユーロ圏は4月には新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じるなど、比較的早期に感染収束が見られ、また経済支援策により景気の底打ちから回復が続いていました。しかし、ユーロ圏でも一部の国で感染再拡大が見られ、指標も悪化したことから景気の先行きが気になります。ただコロナ感染の動向次第ながら、ユーロ圏経済に底堅さも残されていると見られます。

8月のユーロ圏PMI:サービス業PMIを中心に市場予想を下回り、回復の鈍化を示唆

IHSマークイットが2020年8月21日に発表した8月ユーロ圏コンポジット(総合)購買担当者景気指数(PMI、速報値)は51.6と、市場予想(55.0)、7月(54.9)を下回りました(図表1参照)。

 

内訳は、製造業PMIが51.7と、市場予想(52.7)を下回るも、前月(51.8)とほぼ変わらずとなりました。サービス業PMIは50.1と、市場予想(54.5)、前月(54.7)を下回りました。

どこに注目すべきか:ユーロ圏PMI、サービス業、高頻度データ

ユーロ圏は4月には新型コロナウイルスの新規感染者数が減少に転じるなど、比較的早期に感染収束が見られ、また経済支援策により景気の底打ちから回復が続いていました。しかし、ユーロ圏でも一部の国で感染再拡大が見られ、指標も悪化したことから景気の先行きが気になります。ただコロナ感染の動向次第ながら、ユーロ圏経済に底堅さも残されていると見られます。

 

まず、8月のユーロ圏PMIの内容を振り返ります。製造業とサービス業で分けると、前月に比べ落ち込んだのはサービス業で、製造業は前月とほぼ同水準でした。サービス業が悪化した背景は、新型コロナの感染再拡大により、旅行の不振や外出が一部制限され、飲食店は営業時間が短縮されるケースもあるなどサービス業関連に悪影響が及んだと見られます。国別では製造業PMIが底堅かったドイツは、コンポジットPMIは53.7と前月(55.3)からの悪化は比較的小幅でした。一方、製造業、サービス業共に軟調であったフランスのコンポジットPMIは51.7と、前月(57.3)を大幅に下回りました。

 

次に、ユーロ圏のコロナ感染の動向を見ると、一部の国では7月後半頃から新規感染者数が増加に転じています。たとえば、フランスでは23日の新規感染者が4897人と報道され、4月半ばのピーク以来の多さとなっています。特に感染者が多いのはスペインで、1日あたりの新規感染者が足元1万人に迫る勢いです。ドイツは比較的感染再拡大は抑えられていますが、8月後半には1日2000人超を記録する日もあるなど、警戒モードは高まっています。

 

コロナ感染再拡大の影響の一側面を確認するために、レストラン予約や小売業の客足(店舗を訪れた人、前年比)を見ると感染の拡大に伴い7月頃から減速しています(図表2参照)。ただ都市封鎖が導入された3月から5月頃のような極端な落ち込みは回避されており、感染抑制と経済のバランスをとる政策へのシフトが感じられます。

 

なお、先の8月PMIは7月中旬から8月中旬が調査対象期間で、コロナの感染再拡大が出た時期に重なっています。市場予想を大きく下回ったひとつの背景なのかもしれません。

 

さらに、高頻度データの足元を見ると、短期的な下落に歯止めがかかったように見えます。もっとも高頻度データの範囲には限りがあり、これだけで全体の動向を判断するのは無理もあります。コロナの動向次第ながら総合的に見て、ユーロ圏景気の再度の急落までも想定する必要性は低いと思われます。

 

月次、期間:2017年8月~2020年8月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]ユーロ圏PMI(製造業、サービス業、コンポジット)の推移 月次、期間:2017年8月~2020年8月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

日次、期間:2020年2月24日~2020年8月20日、小売業(点線)は週次 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]欧州サービス業の主な高頻度データ(前年比)推移 日次、期間:2020年2月24日~2020年8月20日、小売業(点線)は週次
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『8月のユーロ圏PMIは市場予想を下回る』を参照)。

 

(2020年8月24日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

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ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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