「ランダム学習」を上手に取り入れる
上記のとおり、ブロック学習よりもランダム学習のほうが成績が上がるということがわかりました。しかし、私たちがこれまでに使ってきた教材を振り返ってみると、ブロック学習のものが多かったのではないでしょうか。教科書はもちろん、塾のテキスト、市販の教材に至るまで、ほとんどはブロック学習ですよね。普通にしていると、どうしても効率の悪いブロック学習で勉強させられてしまいます。
その理由は、私たちの感覚としては、「ブロック学習のほうがわかりやすい」と感じてしまうことだと思います。上述したように、実験後の参加者に対してのアンケートで、多くの人が「ブロック学習のほうがよかった」と回答していました。よかれと思って「わかりやすく感じる」テキストが作られ、私たちもまた「わかりやすく感じる」テキストのほうを選んで購入してしまいます。
塾のカリキュラムは「スパイラル」になっていて、ある程度交互にいろいろな単元を学習することが多いのですが、「数週間ずっと平面図形の問題をやる」といったブロック学習のカリキュラムの塾もあるので注意が必要です。そういった場合には、自分で意識的にランダム学習を混ぜるようにしましょう。
●ランダム学習を取り入れるコツ
日頃の勉強にランダム学習を取り入れるにはどうすればいいでしょうか。1つの方法は、過去問や実力テスト形式のものを活用することです。過去問は6年生にならないとやれないものというイメージがあるかもしれませんが、そんなことはありません。5年生の子が過去問をやるのであれば、自分の模試偏差値よりも10くらい下の学校の問題をやってみると、意外とちょうどいい戦いになるレベルの問題が出題されていたりします。ここでは過去問を解く主な目的である「志望校の傾向分析」とは別に、ただの勉強用と割り切って解いてみると、良いランダム学習になるでしょう。
また、首都圏模試(統一合判)は過去問を公式に販売していて、アマゾンなどで購入できます。サピックス模試の問題もよくメルカリで非公式に販売されています。売るくらいですから、要らなくなったお友達からもらったりできるかもしれませんね。そういったものをうまく活用してみたらよいのではないでしょうか。
●普段のテキストをランダム化するアイテム
上述したように、やる順番をランダムにするだけで学習効率が上がるわけです。そして、私たちはランダム化するための素敵な武器を持っています。そう、「サイコロ」です。筆者の著書『小学生の子が勉強にハマる方法』の中でも、勉強をゲーム化するアイテムとしてサイコロをご紹介しました。サイコロを使って何をやるかを決めるだけで、子どもは遊びのようなワクワク感を感じて楽しみながら勉強してくれるという話でした。勉強をゲーム化するための詳しい方法はそちらの本を読んでいただくとして、その「サイコロでやるものをランダムに決める」というのは、学習効率を上げるためにもとても効果的な方法なのです。一石二鳥ですね。
私の授業でも、最初にある単元の内容を教えるときは、例えば算数なら例題1で習ったことを使って例題2の考え方を学ぶというような構成になっていますから、ランダム化は正直なかなかできません。社会だって、歴史なら時系列に沿ってではなくランダムな順序で教えたら意味がわからなくなってしまいます。
しかし、ひと通り学んだあとの問題演習はランダム化できます。そういったときには、時々お遊び的な盛り上げも兼ねて、サイコロを振ってやる問題を決めさせたりしています。数枚印刷したプリントからくじ引き感覚で選ばせてもいいですし、サイコロがなければあみだくじで決めても構いません。何をやるかをあえて偶然にゆだねるのは、ランダム学習をする簡単な方法としておすすめですよ。ただし、苦手な弱点を最後までやらなかった、という偶然が起こらないようにだけご注意を!
一般的なカリキュラムで勉強すると効率の悪いブロック学習になりがち。意識的にランダム学習にする方法を取り入れよう。サイコロ・くじびき・あみだくじなど、偶然にゆだねるとゲームっぽくなって面白い。