●検証対象68社のうち前年同期比で減収となったのは60社、減益は32社、赤字転落は20社に。
●今期の業績予想について、発表済みの企業は68社のうち28社だったが今回28社が新たに発表。
●新たな通期予想の多くは減収減益、中盤戦では、業績懸念を払拭できる手掛かりの有無に注目。
検証対象68社のうち前年同期比で減収となったのは60社、減益は32社、赤字転落は20社に
日本では、3月期決算企業による4-6月期の決算発表が始まっており、先週、序盤戦が終了しました。まだ全体の傾向を把握できる段階ではありませんが、以下、ここまでの決算概要をまとめておきます。なお、対象企業は、日経平均株価を構成する225社のうち、7月31日までに決算発表を終えた3月期決算企業から金融(銀行業、保険業、証券・商品先物取引業、その他金融業)を除いた68社です。
2020年4-6月期において、売上高が前年同期比で減収となったのは68社のうち60社にのぼり、増収は8社にとどまりました。また、純利益が前年同期比で減益となったのは32社、赤字に転落したのは20社に達しました。一方、増益となったのは13社で、黒字転換は3社でした。新型コロナウイルスの影響は、ある程度予想されていたとはいえ、かなり厳しい結果となっています。
今期の業績予想について、発表済みの企業は68社のうち28社だったが今回28社が新たに発表
なお、売上高が前年同期比で増収となった8社のうち、純利益が増益となったのは、東京エレクトロン(半導体製造装置メーカー)、エムスリー(製薬会社向けマーケティング支援)、大日本住友製薬(住友化学系医薬品メーカー)の3社でした。また同じく増収8社のうち、純利益が黒字転換したのは、ヤマトホールディングス(宅配便最大手)、SCREENホールディングス(半導体製造装置メーカー)の2社でした。
また、68社のうち、今期の業績予想(通期だけでなく中間期や一部項目のみの場合も含む)をすでに発表していた企業は28社でした。残りの40社のうち、今回の決算発表において今期の業績予想(同様に通期だけでなく中間期や一部項目のみの場合も含む)を発表したのは28社で、未発表は12社となりました。コロナの影響で企業活動に不透明感が強いなかでも、多くの企業が業績予想の開示を進めていることがわかります。
新たな通期予想の多くは減収減益、中盤戦では、業績懸念を払拭できる手掛かりの有無に注目
今回の決算で、28社が今期の業績予想を発表しましたが、通期の売上高と純利益の予想が確認できるのは、22社でした。詳細をみると、減収減益予想は12社、減収で赤字継続予想は4社、減収で赤字転落予想は2社となっています(図表)。また、減収増益予想はSCREENホールディングス、デンソー(自動車部品最大手)などの3社、そして、増収増益予想はヤマトホールディングス1社だけでした。
今回、業績予想の開示が進んだ結果、コロナの影響の長期化が改めて確認された格好になり、7月31日の日経平均株価は22,000円を割り込んで取引を終えました。ただ、同日の米国株が堅調に推移したこともあり、日経平均株価は8月3日午前の取引で22,000円台を回復しています。今週から決算の中盤戦を迎えますが、少しでも業績懸念の払拭につながる手掛かりが得られるか否かが注目ポイントです。
※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年4-6月期決算~序盤戦は厳しい結果に』を参照)。
(2020年8月3日)
市川 雅浩
三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト