不動産投資初心者の「浅はかすぎる第一歩」は…
◆大家さんをめざすなら目標を設定することが大事
本格的に大家さんをめざそうと決めたら、まず最初に目標を設定することが大事だ。なぜなら、無計画に自分の所有する賃貸住宅を増やしていくと、いろいろな不都合がおきてくるからだ。
もっとも注意したいのは小さなマンションを思いつきで無計画に購入することだ。場所も購入する不動産会社も別々にマンションをいくつか購入すると、借り入れ銀行も複数になるから返済が面倒なだけでなく、大家さんとしての実績にもならない。
やはり早い時期にたとえば、「価格1億円のアパートの大家さんになり、家賃月額60万円をめざす」というふうに目標を設定し、その目標達成に協力してくれる不動産会社をみつけることが何よりも重要だ。
◆目標を決めれば家賃収入月額2,000万円も夢ではない
私は現在20棟の一棟物件を所有しており、毎月2000万円の家賃収入がある。だが最初の1戸は300万円の小さなマンションだった。しかし最初の賃貸用マンションを買ったあと、私はすぐに資産総額20億円、家賃収入月額2000万円という具体的な目標を設定した。
もしあのときこうした目標を立てないまま、気が向いたときにパラパラとマンションを買っていたら、現在のような規模の賃貸住宅の大家さんにはなれなかったと断言できる。
なぜなら最終的な資産額1億円をめざすのと20億円をめざすのでは、物件の選び方はもちろん、金融機関との付き合い方、資金計画の立て方まで、まったく違ってくるからだ。
「資金計画が狂ってくる人」のシンプルな特徴は…
◆大家さん業の第一歩は信頼できるパートナーをさがすことだ
目標を決めたら、それを実現するために、まずやることがある。それは信頼できるパートナーをさがすことだ。信頼できるパートナーとは、こんな人のことだ。
1.あなたの目標を理解し、目標実現のために賃貸物件をさがしてくれる。
2.購入の際、銀行との交渉をしてくれる。
3.購入後はあなたの賃貸物件の入居者を募集してくれる。
4.部屋が埋まったあとは、手足となって賃貸物件の管理をしてくれる。
これらは、すべて不動産会社の仕事だが、このすべてを一人のパートナーにまかせている大家さんは、あまりいない。大家さんとしてあなたが成功するには、すべてをまかせられるパートナーをみつけることが必須なのだ。
◆目標を決めたら「覚悟」も決める
ただ、誤解しないでほしいのは、ここで述べている目標とは、ほぼあなたの願望のことであって、あなたの両親がお金持ちだから目標を大きくした方がいいとか、逆に自分は財産とは無縁だから目標は低くしておこうとかいったこととは無関係だ。
もしあなたが資産額20億円の大家さんになると覚悟を決め、ぶれることなくその目標に向かって進んでいけば、必ず総資産額20億円の大家さんになれる。ただ多くの人は途中で覚悟がゆらぎ「このあたりでいいや」と思ってしまう。
あるいは最初に決めた1億円を簡単にクリアできそうになると、つぎつぎと目標を高くしようとする。そして失敗するのだ。
◆目標以上の投資が失敗をまねく
とくにあなたが所有する賃貸用の物件が増えてくると、パートナー以外のいろいろな業者からも新規の案件が持ち込まれるようになる。それ自体は、あなたの大家さんとしての実績が認められたということなので、喜んでいい。
しかし、パートナーに黙ってそうした業者から持ち込まれる案件を購入するのは、やめた方がいい。あなたはすでにパートナーを通じて銀行などの金融機関とも相談のうえ、目標に向かって計画的に物件を増やしていっているところだ。
そこに突然、あらたな物件を購入すれば、いままで立てた資金計画が狂ってくるし、パートナーや銀行との信頼関係にもひびが入りかねない。
一度立てた目標以上に物件を購入することには、慎重なうえにも慎重でなくてはならないのだ。
「狙い目物件」なんてものは疑ったほうがいい
◆物件の立地条件も疑え
私が述べようとする大家さん業のノウハウは、本屋さんにたくさん並んでいる不動産投資本と真逆である場合が少なくない。ここまで読んで「あれっ」と思った人も少なくないだろう。
たとえば、不動産投資の初心者、ましてサラリーマンであれば、まずはワンルームマンションをすすめるというのが普通だ。しかし私は最初から一棟物件の大家さんになることをすすめている。大家さん業も、やはり競争の世界だ。ライバルに負けないためには、同じ発想をしていてはだめだ。そこで「発想を変えよう」ということで、私の流儀をお届けする。
こうした発想からは、あなたが狙う物件のタイプや立地条件も、従来の常識を疑えということになってくる。
◆東京・山手線、大阪・環状線の内側ならいいか
たとえば物件の立地条件は絶対ではない。よく駅に近ければ近いほどがいいとか、大阪だったら環状線、東京だったら山手線の内側がいいとかいうが、それは一般論であって、絶対ではないのだ。
なぜなら、駅に近い物件は、同じように駅に近い物件同士で、実際は競合しているのだ。同じ駅から徒歩5分の物件の中でどれだけ借り主にアピールする物件を「演出」できるのか。そこに大家さんの知恵を発揮する余地がある。
ましてや東京・山手線の内側がいいとか、大阪・環状線の内側でなければだめとかいった議論は、まったく意味がない。
◆需要があるのに供給が少ないエリアこそ狙い目
たしかに山手線の内側とか環状線の内側とかいったエリアは、だれでも一度は住んでみたいという意味で、ステータスの高いエリアではある。
しかし、あたり前のことだが、賃貸住宅には大家さんが自分で住むわけではない。自分の所有する賃貸住宅が常に満室で、計画に沿った家賃収入が得られる場所なら、エリアのステータスにこだわる必要はまったくないのだ。むしろ「住みたい街ランキング」のようなファミリー向けの人気ランキングからこぼれ落ちているような場所こそ狙い目といえる。
「新婚カップル向け」が戦略として的外れといえるワケ
◆入居者のターゲットも疑え
ここまできたら入居者ターゲットも疑ってみよう。学生向け、女性限定、単身者向け、新婚向け、ファミリー向け。賃貸住宅には、部屋の大きさやグレード、立地条件などから、さまざまなターゲットを設定するのが普通だ。ターゲットを絞り込むことは賃貸住宅を経営する大家さんにとっても重要だが、住んでくれる人のことを考えた結果でもある。
たとえば新婚カップルに人気の1LDKや2DKといった間取りの部屋と学生向けのワンルームを1棟のマンションの中に同じ数だけつくったら、どうなるか。
結論からいえば、いくら大家さんが新婚カップル向けにと内装などに工夫をこらしても、その1LDKや2DKには、まず新婚カップルが入居することはない。募集の際にいくら「新婚さん歓迎」とうたっても、となりに学生や単身者が住むと思われるワンルームがあれば、新婚さんは敬遠するのが普通だからだ。同じことはファミリータイプにもいえる。
そうなると新婚カップル向けやファミリー向けだけにターゲットを絞った1棟マンションやアパートをつくればよさそうだ。ところが実際には、そううまくはいかない。
◆ファミリーでもなく学生でもなく、ターゲットは単身者
新婚カップル向けは、子どもができれば手狭になるので、どうしても入居期間が短くなりがちだ。また新築を好む傾向があるので、古くなると入居率がおちる。
2LDK以上のファミリータイプは入居期間は長いが、いったん空き部屋になると次の入居者が決まるまで時間がかかるのが問題だ。またファミリータイプは広さの割に家賃が低いという欠点もある。たとえば30平米の1DKなら8万円の家賃が設定できる場所で、倍の広さの2LDKで倍の16万円の家賃が設定できるかというと、難しい場合が多い。
また学生向けは、入れ替わりは激しいが、常に新しい需要があるという点はプラスだ。だが近所に大学がない場合、学生向けにターゲットを絞ると意外に苦戦する。
このようにみてくると、ターゲットを絞るなら、これはもう、ファミリーでもなく新婚さんでもなく、学生でもなく、20代後半から30代のサラリーマン、つまり単身者ということになる。