新型コロナウイルスによる企業活動の影響は甚大です。「コロナ倒産」や「コロナ破綻」といった言葉が定着しつつあるなか、2020年5月1日、持続化給付金の申請受付が開始されました。本制度には批判もありますが、必要な企業にとっては非常によい制度です。給付対象が拡大し、新型コロナウイルスの感染再拡大が懸念されるいま、改めて確認しておきましょう。※本記事は、村木謙介公認会計士事務所の代表である村木謙介先生が、持続化給付金の活用と留意点を解説します。

たった3点の書類とオンライン手続きのみで完結

【申請に必要な書類】

申請の際に必要な書類はたった3点です。


①確定申告書類のうち、確定申告書別表一(収受日付印が押されていることが必要)及び法人事業概況説明書
②2020年分の対象とする月(対象月)の売上台帳等
③通帳の写し、銀行名・支店番号・支店名・口座種別・口座番号・口座名義人が確認できるもの

 

【申請手続】

まずは申請用ホームページ(https://www.jizokuka-kyufu.jp/procedures_flow/)にアクセスし、マイページを作成しましょう。マイページから基本情報(法人番号・法人名や業種・設立年月日・資本金の額及び従業員数をはじめとする法人情報)、売上額(入力すると申請金額を自動計算)、振込口座情報を入力し、必要書類を添付し(スマートフォン等で撮影した写真画像でもOK)、各種宣誓・同意事項に同意することで完了です。

 

公式ホームページには、申請内容に不備等がなければ2週間程度で振り込まれると記載されています。

 

持続化給付金における4つのポイント

【ポイント1】確定申告書の控えには「収受印が必要」

 

前述の必要書類の一番目の確定申告書の控えについて、「収受印が必要」という点には留意が必要です。e-Taxを通じて申告を行なっている場合には「受信通知」を添付する必要があります。いずれも存在しない場合には、税理士による押印及び署名がなされた対象月の属する事業年度の直前の事業年度の確定申告で申告した又は申告予定の月次の事業収入を証明する書類を提出することで代替することができます。

 

【ポイント2】不正受給とみなされた場合、厳罰対応

不正受給については厳しい対応が取られることが明記されておりますのでご留意ください。以下は持続化給付金公式ページからの抜粋です。
 

【不正受給時の対応】

提出された証拠書類等について、不審な点が見られる場合、調査を行うことがあります。調査の結果によって不正受給と判断された場合、以下の措置を講じます。

 

①給付金の全額に、不正受給の日の翌日から返還の日まで、年3%の割合で算定した延滞金を加え、これらの合計額にその2割に相当する額を加えた額の返還請求。
②申請者の法人名等を公表。不正の内容が悪質な場合には刑事告発。

 

【ポイント3】持続化給付金にかかる法人税

 

持続化給付金を受領した際の留意点は「この給付金は課税所得となる点」です。会計処理としては営業外収益又は特別収益として計上します。

 

【ポイント4】経営セーフティ共済」の活用で経営難回避&節税

 

課税所得となるため、法人税が取られてしまうとそのぶん効果が薄れてしまいますが、そんなときには「経営セーフティ共済」の活用がおすすめです。正式名称は中小企業倒産防止共済ですが、取引先事業者が倒産した際に、中小企業が連鎖倒産や経営難に陥ることを防ぐための制度です。

 

掛金月額は、5,000円から20万円までの範囲(5,000円単位)で自由に選択でき、掛金は掛金総額が800万円に達するまで積み立てることができます。

 

また確定申告の際、掛金を損金(法人の場合)、または必要経費(個人事業主の場合)に算入できるので、節税効果があります。

 

共済契約を解約された場合は、解約手当金を受け取れます。自己都合の解約であっても、掛金を12ヵ月以上納めていれば掛金総額の8割以上が戻り、40ヵ月以上納めていれば、掛金全額が戻ります(12ヵ月未満は掛け捨てとなります)。

 

共済金の借入れは、無担保・無保証人で受けられます。共済金貸付額の上限は「回収困難となった売掛金債権等の額」か「納付された掛金総額の10倍(最高8,000万円)」の、いずれか少ないほうの金額となります。

 

取引先の事業者が倒産し、売掛金などの回収が困難になったときは、その事業者との取引の確認が済み次第、すぐに借り入れることができます。

 

掛金は前納できます。前納すると、1月につき掛金月額の1,000分の5注3の前納減額金が発生します。払い込んだ掛金は税法上、法人の場合は損金、個人の場合は必要経費に算入できます。また、1年以内の前納掛金も払い込んだ期の損金または必要経費に算入できます。前納の期間が1年を超えるものは、各事業年度末(決算期)において、期間の経過に応じて、必要経費または損金の額に算入できます。

 

注3 2017年11月以降に前納した分からは「1,000分の0.9」となります。

 

(中小機構『経営セーフティ共済』より)

 

直近では、対象者が拡大され、2020年1~3月の間に創業した事業者の方も支給対象となりました。国を挙げて中小企業、小規模事業者の方を支援する助成金ですので、未申請の方はぜひともお早めに!

 

 

村木 謙介

村木謙介公認会計士事務所 代表

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