長男の嫁、泣き崩れる…「夫の死よりも義父の介護」に疲労困憊

日本では年間約130万人の方が亡くなっています。つまり相続税の課税対象になろうが、なかろうが、130万通りの相続が発生しているのです。お金が絡むと、人はとんでもない行動にでるもの。トラブルに巻き込まれないためにも、実際のトラブル事例から対策を学ぶことが大切です。今回は、編集部に届いた事例のなかから、介護に関連した相続トラブル事例をご紹介。円満相続税理士法人の橘慶太税理士に解説いただきました。

認知症になった義父を「長男の嫁」として見続けた

「労いの言葉くらい、あってもいいと思いませんか!?」

 

涙ながらに話すA子さん。親戚への憤りは、相当なものがありました。

 

[登場人物]
A子…長男の嫁
Bさん…A子の夫・長男
C子さん…長女
D子さん…次女
父(義父)…B、C子、D子の父
母(義母)…B、C子、D子の母

 

A子さんがBさんと結婚をしたのは、いまから20年ほど前のこと。結婚の報告をしたとき「彼、地方出身で3人きょうだいの長男!? きょうだいで男は彼だけ……ちょっと面倒くさい感じね。跡取りとか、そういうのうるさくない?」と心配する友人もいました。

 

A子さんは「いまどき、そういうの古いでしょ」と答えたことを、昨日のように覚えています。

 

Bさんの出身が、都心から新幹線で1時間ほどという、絶妙な距離感も良かったのでしょう。友人の心配をよそに、義父母との関係は良好そのものでした。

 

しかし、子育ては大変でした。3人の男児に恵まれましたが、腕白な子どもに手を焼くこともしばしば。しかも思春期で大変な時期に、Bさんは関西に単身赴任となってしまいます。

 

そんな大変な時期も、三男の大学進学とともにひと段落。子どもたちはみな1人暮らしを始めたので、A子さんは寂しくもこれからは自分の時間をどのように使おうか、色々計画するようになりました。

 

しかし、その計画も実行に移されることはありませんでした。ある日、義母が他界。突然のことに、特に義父の動揺は言葉では表現できないほどでしたが、子どもたちには気丈にも「俺は大丈夫だから」と話していました。年老いているとはいえ、威厳を放っていた父です。きょうだいは「父さんのことだから、大丈夫だろう」と考えました。

 

そんななか、1人心配していたのはA子さんでした。

 

「私、先に母を亡くして、男の人(=父)が残される姿を見てきました……駄目なんですよね、男の人って、1人になってしまうと、急に弱々しくなって。結局父は、母が亡くなった3年後に亡くなりました。まだ70代も前半だったのに」

 

そんな経験から、気丈にふるまう義父が気になってしかたがなかったというA子さん。Bさんの単身赴任は続いており、C子さんもD子さんも地方に嫁ぎ、頻繁に来ることは難しい……。結局、義父の家に一番近くに住んでいたという事情から、A子さんは毎週のように新幹線に乗り、義父の様子を見に行くようになりました。

 

そんな日々が続いていくなか、A子さんは義父の微妙な変化に気づきました。

 

久々に単身赴任先から帰ってきていたBさんに、A子さんは気になっていたことを相談します。

 

「お義父さん、最近、物忘れが多くて……認知症、なんじゃないかしら」

 

その後、嫌がる義父を連れて病院に行ったところ、初期の認知症と診断されました。そして3きょうだいとA子さんをまじえて、話をする機会を設けたといいますが、そのときの衝撃を今でも忘れられないといいます。

 

C子「一番近くに住んでいるのがA子さんだから、これまで以上に様子を見に行ってくれるかしら」

 

A子「えっ!?」

 

D子「私たち嫁いだ身だから、こちらはこちらで忙しいのよ。わかるでしょ、A子さんなら」

 

A子「はぁ……」

 

C子「長男のお嫁さんなんて、そんなもんよ」

 

A子さん「……」

 

Bさん「俺からも頼むよ。義理の、とはいえ家族なわけだし」

 

 

円満相続税理士法人 代表 税理士

大学受験の失敗から一念発起し税理士を志す。大学在学中に税理士試験に4科目合格(法人税法の公開模試では全国1位)し、大学卒業前から国内最大手の税理士法人に正社員として入社する。
勤務税理士時代は相続専門の部署で6年間、相続税に専念。これまで手掛けた相続税申告は、上場企業の創業家や芸能人を含め、通算400件以上。また、銀行や証券会社を中心に、年間130回以上の相続税セミナーの講師を務め、27歳という若さで管理職に抜擢される。
2017年1月に独立開業し、現在6名の相続専門税理士が在籍する円満相続税理士法人の代表を務める。週刊ポストや日本経済新聞、幻冬舎、女性自身など、様々メディアから取材を受けている。また、自身で運営しているYouTubeのチャンネル登録者は4万人を超えており、相続分野では日本一のチャンネルに成長している。

円満相続税理士法人:https://osd-souzoku.jp/

著者紹介

連載編集部に届いた「まさかの相続トラブル」円満相続税理士が解説

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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