新型コロナウイルス感染症が上場会社の開示実務に与える影響(アップデート②)

本記事は、西村あさひ法律事務所が発行する『金融ニューズレター(2020/4/23号)』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所または当事務所のクライアントの見解ではありません。

 

※本ニューズレターは2020年4月22日までに入手した情報に基づいて執筆しております。

 

※本記事は、2020年4月10日に公開した『新型コロナウイルス感染症が上場会社の開示実務に与える影響について』のアップデート情報です。

 

2020年4月15日に公開しました金融ニューズレター「新型コロナウイルス感染症が上場会社の開示実務に与える影響について(アップデート)」に記載のとおり、金融庁は、2020年4月14日付で、有価証券報告書及び四半期報告書等(以下「有価証券報告書等」といいます)の提出について一律に2020年9月末までの提出期限の延長を認めることを公表していましたが、その後、「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令」(以下「本改正」といいます)が2020年4月17日付けで公布され※1、即日施行されております。本改正は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえ、有価証券報告書等の提出期限について、企業が個別の申請を行わなくとも、一律に2020年9月末まで延長するため、企業内容等の開示に関する内閣府令(以下「開示府令」といいます)等※2の一部を改正するものです。

 

改正
有価証券報告書等の提出期限の一律延長の取り決めに関し、一部改正

 

本改正のうち日本の上場会社に適用される開示府令に係る改正は、開示府令の附則に新たな条文を追加する形式でなされております。具体的には、金融商品取引法(以下「金商法」といいます)上、やむを得ない理由により法定の期間内に有価証券報告書等を提出できないと認められる場合において、有価証券報告書等の提出期限の延長承認申請(開示府令15条の2、17条の15の2)を行った上で内閣総理大臣の「承認」を受けたときには有価証券報告書等の提出期限の延長を例外的に認める規定が設けられているところ(金商法24条1項本文、24条の4の7第1項)、当該延長承認申請なしで提出期限の延長が認められる形になりました。

 

すなわち、2020年4月20日から同年9月29日までの期間に提出期限が到来する有価証券報告書等については、一律に、新型コロナウイルス感染症の影響により「やむを得ない理由により…期間内に提出できないと認められる場合」(金商法24条1項本文、24条の4の7第1項)に該当することから、有価証券報告書等の提出期限の延長承認申請に関する規定(開示府令15条の2、17条の15の2)の適用を受けずに、同年9月30日を有価証券報告書等の提出期限とする「承認」(金商法24条1項本文、24条の4の7第1項)があったものとみなすこととされています※3

 

また、本改正に伴い、有価証券報告書と「併せて」提出される内部統制報告書(金商法24条の4の4第1項)と確認書(金商法24条の4の2第1項)の提出期限についても、2020年9月30日まで延長されることが金融庁により明確化されています※4

 

なお、臨時報告書については開示府令の改正による手当てはされていませんので、2020年4月15日に公開しました金融ニューズレター「新型コロナウイルス感染症が上場会社の開示実務に与える影響について(アップデート)」に記載のとおり、実務上の取扱いとして、新型コロナウイルス感染症の影響により臨時報告書の作成自体を行うことができない場合には、かかる事情が解消した後、可及的速やかに提出することで、「遅滞なく」提出したものとして取扱われることになるという運用がなされるものと思われます。

 

※1 金融庁「企業内容等の開示に関する内閣府令等の一部を改正する内閣府令(内閣府令第37号)」(https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200417_kaiji/beshi1.pdf)

 

※2 開示府令以外に、外国債等の発行者の内容等の開示に関する内閣府令及び特定有価証券の内容等の開示に関する内閣府令についても同様の改正が行われています。

 

※3 なお、上場会社自身が提出する有価証券報告書及び四半期報告書に加えて、金商法に定める親会社等が提出する親会社状況報告書の提出期限についても同様の手当がされています。

 

※4 金融庁「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を踏まえた有価証券報告書等の提出期限の延長について」(2020年4月14日公表、4月22日更新)(https://www.fsa.go.jp/news/r1/sonota/20200414.html)

 

 

濃川 耕平

西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士

 

杉本 健太郎

西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士

 

髙木 拓実

西村あさひ法律事務所 弁護士

 

 

関連情報
2020年4月10日 新型コロナウイルス感染症が上場会社の開示実務に与える影響について
2020年4月15日 新型コロナウイルス感染症が上場会社の開示実務に与える影響について(アップデート)

 

西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士

2000年、東京大学法学部第一類(LL.B.)卒業。2007年、University of Virginia School of Law(LL.M.)卒業。2001年、第一東京弁護士会登録。2007年~2008年、Norton Rose法律事務所(ロンドン)に勤務。

【主な著書等】『企業労働法実務相談』(共著、商事法務、2019年3月)、『M&A法大全(上)(下)[全訂版]』(共著、商事法務、2019年1月)、『社債ハンドブック』(共編著、商事法務、2018年7月10日)、『新株予約権ハンドブック[第4版]』(共編著、商事法務、2018年3月)、『資金調達ハンドブック〔第2版〕』(共編著、商事法務、2017年12月)、『種類株式ハンドブック』(共著、商事法務、2017年9月)、『ファイナンス法大全(上)[全訂版]』(共著、商事法務、2017年8月)、『REITのすべて〔第2版〕』(共著、民事法研究会、2016年12月)、『会社法実務相談』(共著、商事法務、2016年11月)、『資本・業務提携の実務(第2版)』(共著、中央経済社、2016年9月16日)、『新株予約権ハンドブック[第3版]』(共編著、商事法務、2015年6月)、『資本・業務提携の実務』(共著、中央経済社、2014年12月20日)、『論点体系 金融商品取引法[1]・[2]』(共著、第一法規、2014年7月10日)、『新株予約権ハンドブック[第2版]』(共著、商事法務、2012年6月25日)

著者紹介

西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士
ニューヨーク州弁護士

1996年、早稲田大学法学部(LL.B.)卒業。2006年、Georgetown University Law Center(LL.M.)卒業。2000年、第一東京弁護士会登録。2007年、ニューヨーク州弁護士登録。2006年~2007年、Simpson Thacher & Bartlett LLP(ニューヨーク)に勤務。

【主な著書等】『社債ハンドブック』(共著、商事法務、2018年7月10日)、『ファイナンス法大全(上)[全訂版]』(共著、商事法務、2017年8月)、『新会社法のすべてQ&A』(共著、中央経済社、2005年8月)、『ストックオプション拡充と改正法による新株発行実務』(共著、中央経済社、2002年02月)

著者紹介

西村あさひ法律事務所 弁護士

2017年、一橋大学法学部(LL.B.)卒業。2018年、一橋大学法科大学院中退。2019年、第一東京弁護士会登録。

著者紹介

連載西村あさひ法律事務所 ニューズレター

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