手取り額17万円、実家に3万円、投信に2万円…
◆急な出費に対応できなくては意味がない
酒井さんの家計はこんな感じです。毎月の給料からDCや財形貯蓄などが差し引かれて、手取り額は17万円ほど。そこから、生活をさせてもらっている実家に3万円を入れ、積み立て型の投信(つみたてNISAに該当しない商品)に2万円、つみたてNISAに3万円、残る9万円で食費や交際費、被服費などを賄っていました。
酒井さんの場合は、先のケースの投資ができない木下さんとはまったく逆で、将来のお金を作るため積極的に投資を活用しているケースです。
現在、国をあげて「貯蓄から投資へ」の流れを加速させていることもあり、昨今、さまざまな個人向け投資の優遇策が展開されています。そのため、酒井さんのようにそうした制度を「使わなければ損」とばかりに、加入している人たちも増えてきています。
ところが、さまざまな制度を利用して積み立てているお金は、売り時じゃない時に売らなくてはいけなくなってしまったり、積み立て始めてからの期間が短いと、せっかくのメリットを享受できなかったりというデメリットもあります。
また、すぐには引き出せないものもあり、貯蓄がなければ、自分自身や両親に万が一のことがあったとしても、急な対応はできません。そのため、投資したり、積み立てたりしたお金が多額でも、借金をしなければならないといった本末転倒な事態に陥る可能性もあります。
急な出費に対応できないのであれば、何のための蓄えなのかわからず、老後よりも今の生活のほうが心配になります。