「法律で解決できること=人生においてハッピーエンドか」
必ずしも、そう言い切れないのが世の常です。権利を獲得し、お金で解決することができたとしても、それが結果、長い目で見たときに良かったかどうか…。
渦中にいると、じつは見えにくいものです。水谷弁護士がクライアントから相談を受けている際、よくある法律相談の中から、「法律外」の話を取り上げます。
夫が外に子どもを作ってしまった…
■相談内容
主人が以前、別の女性と過ちを犯してしまったことがありました。本人も深く反省し、関係は断ち切ったそうなので、離婚には至りませんでした。私との関係も戻ってます。
しかし、その時の人との間に子どもができたと連絡があり、主人も「せっかくの命だから、産んで欲しい」と、その人との子を認知したいと言われました。
主人のことは愛していますが、もう私には理解できません。どうしたらよいでしょうか?
■水谷弁護士の考え
ご主人は両方を傷つけたくなくて、両方を傷つけてしまう、しかも本人はその認識がなくて、いちばん困るタイプだと思います。結局のところ、自分がいちばん傷つきたくないのです。
ひと昔前は、家庭の外に子どもがいる男性はいくらでもいました。
でも、これは大前提に、お金と覚悟があって成立する話です。「正妻をいちばん大事にしている」という潔さが大事で、外の家庭にはしっかりとお金だけは出し、正妻の家族を大切にしてくればそれで良いのですから。
次の人生に歩み出したほうがよい
しかし、今回のようにウェットな感じだと、難しいと思います。実際に両方養えるだけのお金がないと、ただ単に振り回されるだけです。
気持ちの面でもスッパリ切れなくて「病気だからどうの」「子どもが会いたがっているから」「進学にお金が必要で」何かにつけて、ご主人は振り回されてしまうでしょう。その都度、あなたはひとり、悶々とするでしょう。「今、会いに行ってるな」「家計からいくら出ているな」と。
そうなるのであれば、あなたからご主人見切りをつけて、次の人生に歩み出したほうが私はよいと思います。法律の構造的にはご主人からの離婚請求はできません。
あなたに決定権があるのです。あなたが、これからの人生、悶々とした気持ちを抱えたまま過ごすのか、自分で新たに切り開いていくのか。権利を行使するかどうか、あなたしだいです。
水谷 江利
世田谷用賀法律事務所 弁護士