世界の金融は「ドル」が基盤です。本連載は、ロサンゼルス在住の元バンカーである金井規雄氏の新刊で、2015年10月に刊行された『ドル資産を持て!』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、ドル資産の具体的な築き方などをご紹介します。

改革草案作成をほぼ一人で担ったポール・ウォーバーグ

前回に引き続き、FRBの創設について見ていきます。

 

1910年11月、JPモルガンが所有するジョージア州ジキル島において、全国金融委員会の委員長であるネルソン・オルドリッチ上院議員をはじめとした金融業界の指導者たち(図表1)が会議を開きました。

 

【図表1 金融業界の指導者たち】

 

そこでアメリカ合衆国の通貨改革計画が進められましたが、実際の改革草案の作成は、ロスチャイルド代理人のポール・ウォーバーグが技術的に優れていたので、ほとんど彼一人で作成したようです。

 

まず、彼はBoard of Governorsとして7人の理事をおきます。そして、連邦準備制度Federal Reserve Systemの中心的役割を担う銀行をニューヨーク連邦銀行とします。銀行は1行であれば中央銀行というイメージができますので、4つの地区連銀(連邦銀行)を当初設立し、後に11の地区連銀を設立します。ニューヨーク連銀と併せて合計12地区の12連銀となります。

 

ドル紙幣を見れば印刷された地区連銀が分かる

少し余談ですが、ドル紙幣の左上に「12」(1ドル紙幣)とか、「F6」とか、「G7」という番号が印刷されていますが、この番号で、その紙幣が12地区連銀のうちどの地区連銀で印刷された紙幣であるかがわかります。12は、サンフランシスコ連銀になります。「F6」はアトランタ連銀です。ちなみに、第1地区連銀は、ボストン、第2地区連銀がニューヨーク連銀です。

 

もうひとつ。アメリカの銀行に送金する場合、ABA番号を記入しますが、このABA番号は、必ず01から12の番号から始まります。

 

たとえば、サンフランシスコのバンク・オブ・アメリカのABA番号は、121000358と頭に12の番号が付きます。それは12地区連銀にその銀行の口座があるという意味です。そして、金利・通貨発行量・債券の買取りなどの金融政策は、FOMC(Federal Open Market Committee)という連邦公開市場委員会で決めることにしました。

投資は、自己責任で行うものです。
本書の情報をもとにした投資行動により、仮に損失や遺失利益が生じたとしても、著者、発行人、発行所はいかなる責任も負いません。
投資決定はあくまでご自分の判断でなさるようお願い致します。

ドル資産を持て!

ドル資産を持て!

金井 規雄

週刊住宅新聞社

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