世界の金融は「ドル」が基盤です。本連載は、ロサンゼルス在住の元バンカーである金井規雄氏の新刊で、2015年10月に刊行された『ドル資産を持て!』(週刊住宅新聞社)の中から一部を抜粋し、ドル資産の具体的な築き方などをご紹介します。

いずれはドルを中心とした新しい通貨ができる!?

日本の円は、強い通貨になりました。日本・日本人の努力のたまものと思います。しかしながら、世界の中心通貨はドルです。このことは明白でご理解されていることと思います。そうであれば、いっそのこと日本の通貨をドルに変更してはと筆者は考えます。

 

もちろん、そんなことは起こり得ないということは重々承知しています。理由は簡単で、自国の金融政策が取れないからです。

 

確かに金融政策が自国の自由にならず、アメリカの金融政策に委ねなければいけないことは、自国の経済状況に合わせた金融政策ができないので現実的ではないでしょう。それならば、せめてペッグ制(固定相場制の1つ)にすればと思います。

 

このペッグ制も自国の金融政策が取れませんが、上下10%程度の調整枠を設けて対応すればよいと思います。この調整枠内であれば、限定的ですが自国の金融政策を取ることができます。この枠の制限以上に金融政策の必要性が発生すれば、その時は例外的に枠の幅を変更すればよいのです。

 

これくらいの気迫と勇気を持って、ドルとリンクさせるという大英断を敢行すべきであると思いますが、現実的には不可能でしょう。日本国家が自ら進んで敢行するとは思えません。だからこそ、自分でドル資産を所有し、防衛するしかないのです。

 

しかしながら、いずれそうなる機会がやってくると思います。それは、現在協議されていますTPPです。アメリカを中心に環太平洋の国々で関税を撤廃し、自由に取引ができる経済圏を構築しようということですが、これが発展すれば、TPPの中で共通する通貨を使用するのが好都合である、という自然の流れのようになると思います。

 

当初は、当然ながらアメリカ・ドルを共通通貨で取引されるのでしょうが、いずれはアメリカ・ドルを中心とした新しい通貨ができ上がるかもしれません。

 

その時、ドルを中心に各国の通貨を一緒にした「バスケット通貨」なるものができ上がる可能性が高いと思います。これによって、アメリカ環太平洋エリアの新しい通貨ができ上がっていくのではないでしょうか。

日本の借金・国債問題に備えて現物資産を持つ

世界の金融がドル・ベースで、国際金融資本グループが金融システムをコントロールしていることは明白です。それを踏まえて、われわれはどうすればいいのでしょうか? 

 

日本の借金・国債問題がいずれ表面化することも考慮すれば、ドル資産を持つことが賢明な対策であることははっきりしています。それならば、通貨のベースになっている金(ゴールド)も持つことが重要となります。具体的な資産としては、次の3つです。

 

①ドル現金・預金口座

②アメリカ不動産

③金(ゴールド)

 

これらは、銀行口座を除いてすべて現物資産です。この中の①、③について、次回から詳しく述べていきたいと思います。

投資は、自己責任で行うものです。
本書の情報をもとにした投資行動により、仮に損失や遺失利益が生じたとしても、著者、発行人、発行所はいかなる責任も負いません。
投資決定はあくまでご自分の判断でなさるようお願い致します。

ドル資産を持て!

ドル資産を持て!

金井 規雄

週刊住宅新聞社

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