本記事は、西村あさひ法律事務所が発行する『中国ニューズレター(2020/2/19号)』を転載したものです。※本ニューズレターは法的助言を目的とするものではなく、個別の案件については当該案件の個別の状況に応じ、日本法または現地法弁護士の適切な助言を求めて頂く必要があります。また、本稿に記載の見解は執筆担当者の個人的見解であり、西村あさひ法律事務所または当事務所のクライアントの見解ではありません。

 

※本記事は、2020年2月18日までに入手した情報に基づいて執筆しております。

新型コロナによる中国在住の人々や企業への影響は甚大

ご存じのように中国湖北省武漢市を中心に発生した新型コロナウイルスの感染症例(本稿において「本件感染症事案」といいます)は、患者数と感染範囲の広さから中国に住む人々の暮らし、そして企業活動に大きな影響を与えています。

 

現在、中国の全ての省及び直轄市※1では今回の新型コロナウイルスの感染症を「伝染病防治法」※2の乙類伝染病とし、「国家突発公共衛生事件緊急対応案」※3等に基づく1級「重大公共突発衛生事件」として対応を進めています。

 

こうした状況下において、中国とビジネス関係のある日本企業又は日系現地法人の関係者の方々は、従業員との労働関係、取引先との関係、業務再開、会社の衛生状況の確保のために、日々奮闘されていることと存じます。弊所においても、本件感染症事案に関して様々なご質問を受けており、本稿では、よくある質問とそれに対する回答という形式で、中国業務に関わる皆さんにお役に立つような法律問題についての基本的な知識と考え方をご紹介したいと思います。

 

但し、本件感染症事案に関しては、中央政府国務院及び各部門、各省及び直轄市、並びにその下の市、県、鎮における行政部門が、それぞれ地方毎の規定等を公表しており、各地域等で具体的な取り扱いに相違点も見られる状況です。そのため、今回ご紹介できるのは、中央政府の規定等及び日本企業のビジネスに影響のある大都市(上海市、北京市等)の規定等の状況を例示としてご説明するに留まります。しかしながら、これらの地域の取り扱い状況を知ることは、皆様が必要な地域の取り扱いを調査又は推察する際の手がかりになろうかと思います。

 

※1. 「財新網」2020年1月29日報道(http://china.caixin.com/2020-01-29/101509411.html)等。

 

※2. 2013年6月29日改正施行

 

※3. 2006年2月26日施行

 

企業活動への影響は甚大
企業活動への影響は甚大

生産停止期間中も給料を支払う必要はあるか?

 1. 労務問題 

 

Q1 現地法人の従業員が、湖北省から会社のある都市に帰ってきた。この従業員の出勤を認めないことはできるか。

 

各地方政府は、それぞれに、伝染病防治法、突発事件対応法(2007年施行)等の法律規定に基づいて、他の都市からの帰省者及び来訪者に対してどのような管理を行うかを定めた規定を文書で公表しております。

 

例えば、上海市では、2月4日公布の「上海訪問人員管理告知書」において、「湖北省等重点地区に立ち寄ったか、かつて重点地区の発熱又は気管病の症状の者と接触したか、又はかつて本件感染症の症例に接触した経験」のある者は、14日の隔離を行うべき旨を規定しています(上海市では実際に、住宅建物又はオフィスビルを管理する物件管理会社や、各居住区域委員会の多くにおいて、外地から市内に来た者に対して一律に14日の自宅待機を求める例が見られます)。

 

もし、当該従業員が各都市の規定に従った自宅待機等の対応を既に済ましており、かつ、本人も希望しているのに出勤させない場合には、伝染病防治法第16条第1項の「如何なる団体及び個人も、伝染病病者、病原保有者、及び伝染病と疑われる者に差別的な行為をしてはならない」という条項に反することになり得ます。但し、会社には、伝染病防治法及び突発的事件対応法を受けた商務部門等の通知(以下「生活サービス企業の感染病防止対処業務徹底の通知」といいます)※4に基づいて、従業員の健康状態等の管理を行う義務が課されており、体温や健康状態の確認を行うことができます。こうした中で発熱や咳の症状が見られる等の具体的な根拠があれば、病院に行くように求めることもできます。これを拒絶するような場合に、職場の衛生管理を目的として自宅待機命令を出すことは、合理的な対応の範囲内であり問題がないと思料されます。

 

※4. 商務部門及び国家衛生健康委員会の「生活サービス企業の新型コロナウイルス感染肺炎流行状況の防止対処業務の徹底に関する通知」(商弁流通函〔2020〕44号)

 

Q2 従業員が、本件感染症に罹患したために長期間※5にわたり出勤できなかった。当該従業員を解雇できるか。解雇できない場合に給料は払わないといけないか。

 

また治癒後も出勤しない場合はどうか。本件感染症事案に関連する労働関係の対応方法については、人力資源社会保障部等から通知※6(以下「本件5号通知」といいます)が出されており、また関連する政府・組合・企業団体からも意見※7(以下「労働三者調整意見」といいます)が出されています。この通知及び意見を踏まえて、更に様々な公的、準公的機関から本件感染症と労働関係に関連した解説等が出ており、これらの内容が、本件感染症事案の特殊な状況下における有効な判断材料となります※8

 

本件5号通知第1条では、本件感染症の患者、罹患が疑われる者、濃厚接触者が、隔離治療期間、医学的観察期間及び政府の実施する隔離措置に依って、労働を提供できないとしても、企業は当該期間の労働報酬を支払わなければならず、労働契約法※9第40条及び第41条に基づいて労働契約を解除できない旨を定めています。

 

したがって、感染症に罹患している場合は勿論のこと、これに関連する観察期間や政府の実施する隔離措置(Q1で述べた、上海市における市内帰還後14日間の自宅待機措置等)が原因であれば、出勤しないことを理由として解雇はできませんし、その間は通常の賃金を支払わなければなりません。

 

この場合に、労働三者調整意見では、テレワークによる業務対応ができない企業では「従業員と協議して」優先して年次休暇を使用すると記載されています。この点、北京市の規定※10(以下「北京市労働関係安定に関連する通知」といいます)では、本件感染症事案の影響で北京市に戻れない従業員について、企業は年次休暇を先に手配することを考えて良いとされており、従業員との「協議」は前提とはされていません。北京市以外の地域については、当該地域における規定等の有無・内容と規定ぶりを確認したうえで、協議が不要と判断できる場合は、長期にわたり帰還しない従業員について、まず年次休暇を手配することが考えられます。協議が必要な場合には、労働三者調整意見を根拠に、従業員を説得したうえで、年次休暇を優先して手配することが考えられます。

 

なお、従業員が治癒後に合理的な理由なく出勤を拒絶した場合には、会社の就業規則に基づいて適切な処分ができます。但し、出勤を拒絶する理由を良く聞いた上で、例えば会社の感染症対策の不備等を指摘された場合には、会社が政府部門の規定(例として、「生活サービス企業の感染病防止対処業務徹底の通知」)に基づいて必要な設備をそろえる等の防止管理措置を行った上で、再度説得を試みて、やむをえない手段として懲戒、そして更に最終的な懲戒解雇をしていく必要があり、さもなければ違法な懲戒処分と判断されるリスクがあると思われます。

 

※5. なお、本件感染症事案を受けて、中国の春節の休暇は2月2日まで延長されており、また北京市、上海市等多くの地域では2月9日までは衛生品生産等の特定の企業を除いて、業務を再開しないように通達が出されていました。したがって、この期間の休暇については、通常の休暇と同様に給料を支給する必要があります。

 

※6. 人力資源社会保障部、財政部、国会衛生健康委員会「新型コロナウイルス感染肺炎流行状況の防止対処期間における労働関係問題の適切な処理に関する通知」(人社庁発明電〔2020〕5号)

 

※7. 人力資源社会保障部、全国総工会、中国企業連合会・中国企業家連合及び全国工商連合による「国家が新型コロナウイルス感染肺炎流行状況の防止対処期間における安定的な労働関係徹底に関して労働関係三者を調整し、企業の業務再開を支援する意見の配布」(2020年2月7日)

 

※8. 上海市中小企業発展サービスセンター「『疫病状況防止対処期間の上海市企業業務再開ガイドライン』企業業務再開FQAの従業員関係(1)-(3)」、検察日報「疫病状況期間における労働関係をいかに処理するか」等

 

※9. 2013年7月1日改正施行

 

※10. 北京市「疫病状況防止対処期間における労働関係の安定的な維持の徹底に関連する問題に関する通知」(京人社労字〔2020〕11号)第二項後段

 

Q3 本件感染症事案の影響を受けて、必要な材料が供給されておらず、従業員を工場に来させていない。既に生産が停止して1ヵ月以上となっている。この生産停止期間中も給料を支払わなければならないか。

 

Q2で述べた本件5号通知第二項は後段で、賃金支払暫定規定(1995年施行)第12条と同内容の操業停止及び生産停止に関する規定を置いています。具体的には、企業が本件感染症事案の影響を受けて、1回の賃金支払期間※11を超えて操業停止又は生産停止となった場合において、労働者が通常の労働を提供しなかったときは、関連規定に基づき処理をしなければならないとされています。以下は、主な省又は直轄市の関連規定で定められた、操業停止又は生産停止時の労働者が自宅待機の場合に支払う金員の最低限度金額となります。

 

 

但し、本件5号通知第二項は前段で、「本件感染症の影響によって生産経営が困難になった企業は、従業員と協議を経て、給料の調整、交代制休暇、時間短縮等の方式で業務職位を安定させ」ることを推奨しているため、操業停止又は生産停止に基づく賃金の減額を実行しようとした場合に、「協議」を前提とする特別の規定を有しない地方政府からも、従業員との協議を求められる可能性は否定できません。

 

※11. 通常の企業であれば、1ヵ月と考えられます。

 

Q4 従業員が、会社への出退勤の途中で本件感染症にかかった場合には、労災となるか。

 

業務中に感染した場合はどうか。まず、本件感染症事案に係る医療及び医療関連業務の人員については、業務中に本件感染症に罹患した場合には、労災として保険の待遇を得られます※12

 

その他通常の労働者については、別途地方において特別な規定又は今回本件感染症事案に関連した通知があれば、労災としての待遇を受けられる可能性はあります。例えば、感染症の流行する地域への出張中の感染について、労災とみなす規定が広東省、河南省等の労災保険条例に存在します。こうした場合においては出張中の本件感染症の罹患についても労災とされる可能性はあります。

 

しかし、そうした特別の定めがない場合には、出退勤途中における本件感染症の罹患についていえば、原則的には労災にはならないとの解釈が一般的と思われます。労災保険条例※13第14条(六)は、出退勤中の労災について「本人の責任のない交通事故、又は都市軌道交通、旅客フェリー若しくは列車事故で負傷した場合」と定めており、出退勤中における病気の罹患は、明らかに労災にあたらないと解されます。

 

この点、病気について、同条例では、「職業病の罹患」は労災に含めるとしています。但し、この職業病とは、その職業活動中において、粉じんや放射性物質、その他の毒物、又は有害物質等の要素によって病気が起こされるものをいいます。本件感染症は通常の職業においては職業病とはいえず、労災には区別されないと思われます。

 

なお企業が、必要な職場の防止管理措置を全く行わない場合には、1. Q2記載の「生活サービス企業の感染病防止対処業務徹底の通知」等に反することになりますし、不作為に起因して本件感染症が蔓延した場合については、行政上の責任(安全生産法※14第18条、第38条)、民事上の責任(伝染病防治法第77条等)及び刑事上の責任(刑法※15第330条)が生じる可能性があります。

 

※12. 人力資源社会保障部、財政部、国家衛生健康委員会「業務職責履行によって、新型コロナウイルス感染性肺炎に感染した医者、看護師及び関連業務人員の関連保障問題に関する通知」(人社部函〔2020〕11号)

 

※13. 2011年1月1日改正施行

 

※14. 2014年12月1日改正施行

 

※15. 2017年11月4日改正施行

納期に遅延する場合「不可抗力」を主張できるか?

 2. 取引契約関連 ※16 

 

Q1 中国のサプライヤーが納期になっても注文部品を引き渡さない。履行遅延として法的責任を追及できるか。

 

この納期遅延が、本件感染症及び政府部門による各種の施策によって引き起こされたと言いうる場合において、本件感染症事案がいわゆる「不可抗力」にあたるとサプライヤーが主張し、この主張が裁判所等に認められるときは、債務不履行の責任が免除される可能性があります。契約法※17第117条は、「不可抗力により契約の履行が不能である場合は、不可抗力の影響に基づき、責任を一部又は全部免除する」と規定します。なお同法第117条は、「不可抗力」とは「予見不能、回避不能、克服不能の客観的な状況」をいうとしています。

 

「戦争」、「天災」が不可抗力にあたることは争いを待ちません。問題は本件感染症事案が「不可抗力」にあたるか否かです。この点、2003年に流行したSARSに関して、不可抗力が争われた事案において、2003年前半に感染症が大規模に流行した事実は認定しながらも、問題となった貸付が発生した時点では、SARSがすでに発生していたため、「予見不可能の要件を満たしておらず、同時に市の感染症への対策は広く見れば経営環境に影響を与えたかもしれないものの、直接必然的な影響を与えたといえず、契約違反を構成する原因とはならない」として、契約法第117条の適用を否定した裁判例※18があります。

 

勿論、個別の事案において、不可抗力条項の適用が肯定される可能性も十分にあります。まずは、サプライヤーが「不可抗力」を主張しても、本当に予見不可能であったか、何らかの方法(特別の許可を取得して業務再開したり、他の代替手段を取る等)で履行可能ではなかったか、地方政府の規定が本当に今回の履行不能を引き起こしたといえるか否かについて、具体的な内容と証拠をサプライヤーに提出・説明させることが先決になると思われます。

 

※16. なお、本稿の契約部分の記載は、当該取引が中国法に準拠するケースを想定しています。契約における準拠法の定め等により、日本法等の中国法以外の法律に準拠すると解される場合は、当該準拠法に従った検討が必要となります。

 

※17. 1999年10月1日施行。

 

※18. 広東省広州市中級人民法院(2005)穗中法民二終字第1150号

 

Q2 (Q1とは逆に)弊社の側が、本件感染症事案による業務再開の遅れと従業員の確保ができなかったために、予定していた納期に遅延する見込みである。「不可抗力」の主張は可能か。

 

具体的に、債務不履行の原因が、予見不可能であり、かつ、本件感染症事案の一連の政府の施策が会社の債務不履行にどのように結びついたかを説明できる資料を確保しておく必要があります。

 

この点、中国国際貿易促進委員会※19が不可抗力に関する証明を出す業務を行っています。但し、同委員会は貿易を促進する業務と共に商事仲裁等を行う組織であり、当該委員会が証明するのは、本件感染症が流行した事実や関連する地方政府の施策が存在したといった内容に留まります。この証明書を入手したからといって、不可抗力の主張が裁判所等で確実に認められるとは限りません。そこで、証明を受けたとしても、個別の事情と債務不履行との因果関係に関する証拠を、早めに確保しておくことが推奨されます。

 

なお、上海市の高級人民法院の指導意見※20は、当事者の約定、感染病の流行の発展状況、感染病流行と履行不能又は履行困難との間の因果関係、及び影響の程度等の要素を考慮して、不可抗力規定の適用を適切に処理する旨を明らかにしています。こうした要素についても、具体的事実に従って検討及び証拠の確保をしておく必要があります。

 

※19. http://www.ccpit.org/

 

※20. 2020年2月8日上海市高級人民法院「審判機能作用を十分に発揮し法律に基づいて感染病を防止対処するための司法の保障の提供に関する指導意見」

「封城」で戻れず、税務申告が間に合わない場合は?

 3. 業務運営に関して 

 

Q1 会社の会計担当者が、湖北省で「封城」(町又は村に対して、封鎖しての隔離政策が行われている状況)に遭ってしまい、上海に戻れず、毎月の税務申告が間に合いそうにない。どうすればよいか?

 

このような本件感染症事案によって経済的に大きな影響が生じないように、中央政府の指示を受けて、各地方政府が政策を打ち出しています。例えば、上海市は、納税申告について、3ヵ月延長することを認めています※21。同様の政策は各地方政府で発表されているので確認ください。

 

※21. 上海市の「疾病状況を全力で防止処理し、サービス企業の平穏健康な発展を支援する若干の政策措置」第十項

 

Q2 会社の社会保険納付担当者は、浙江省で「封城」に遭ってしまい、上海に戻れず、社会保険の納付が間に合いそうにない。どうすればよいか?

 

社会保険の納付についても、中央政府の指示を受けて、各政府において、納付が間に合わない、又は新たに就業する者に関して社会保険登記が間に合わない場合には、一定の期間、補完手続が認められています。例えば、上海市ではやはり3ヵ月間手続の補完が認められています※22

 

※22. 上海市の「疾病状況を全力で防止処理し、サービス企業の平穏健康な発展を支援する若干の政策措置」第十九項

営業再開できないのに、家賃負担するのが耐えられない

 4. 中国政府による優遇策、支援策等 

 

Q1 中国のホテルに投資をしているが、本件感染症事案に起因して、大きな損失が生じるようである。当該現地法人は何か公的支援や優遇措置を得られるか。

 

財政部及び税務総局が2月7日に公布した公告※23では、本件感染症事案の影響を比較的大きく受ける困難な業界の企業は、2020年に発生した欠損を通常は5年の期間しか繰り越せないところ、8年間にわたって繰り越せることになりました。「困難な業界の企業」とは、交通輸送、レストラン、ホテル、旅行(旅行社及び関連サービス並びに観光区管理の両類を含む)の四類とされ、具体的な判断は現行の「国民経済業界分類」に基づいて行うとされています。

 

※23. 「新型コロナウイルス感染肺炎流行状況の防止対処を支持する関連税収政策に関する公告」第四項(財政部及び税務総局公告第8号)

 

Q2 国有企業から商業施設の中のテナントを借りているが、営業が再開できないにもかかわらず家賃を負担するのに耐えられない。何かよい方法はないか。

 

中小企業に対しては、一部の地域において、国有企業の経営する不動産については、1~3ヵ月の家賃を免除する政策が発表されています。例えば上海市※24、青島市※25、大連市※26等です。

 

※24. 上海市「疾病状況を全力で防止処理し、サービス企業の平穏健康な発展を支援する若干の政策措置」第九項

 

※25. 新型コロナウイルス感染肺炎流行状況に対応し、中小企業の経営の安定的発展を保持することを支援する若干の政策措置に関する通知(青政弁発〔2020〕5号)第二条第7項

 

※26. 新型コロナウイルス感染肺炎流行状況に対応し、中小企業の安定的生産経営を支援する政策措置(大政発〔2020〕3号普発)第7条

 

Q3 感染症防止に関連する企業については増値税の優遇措置や、設備投資費用の税前控除等の措置があると聞いた。弊社は中国でレストランを経営しているが、税金の優遇措置等の措置はないか。

 

納税人が、公共交通機関サービス、生活サービス及び住民のために必要な生活品の物資宅急便サービスで得た収入にかかる増値税は、免税されます※27。生活サービスは、都市住民の日常生活の要求を満足させるために提供される各種サービス活動を指し、文化体育サービス、教育医療サービス、旅行娯楽サービス、レストラン・ホテルサービスを含むとされています。本件では、この優遇措置を受けられる可能性があります。

 

但し、この政策は、本件感染症事案の状況を見て終了日が別途公告される点に注意が必要です※28

 

※27. 「新型コロナウイルス感染肺炎流行状況の防止対処を支持する関連税収政策に関する公告」第五項(財政部及び税務総局公告第8号)

 

※28. 「新型コロナウイルス感染肺炎流行状況の防止対処を支持する関連税収政策に関する公告」第六項(財政部及び税務総局公告第8号)

 

 

野村 高志

西村あさひ法律事務所 パートナー弁護士 上海事務所代表 

 

東城 聡

西村あさひ法律事務所 弁護士

 

○N&Aニューズレター(中国)のバックナンバー一覧はこちら
 
○執筆者プロフィールページ
  野村 高志
  東城 聡

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧