やってはいけない信用取引:リスク大の「逆張り」と「業種」とは?

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年2月13日に公開されたものです。

 

資産形成の加速に役立つ一方でリスクも高い信用取引。今回はワンポイント形式で、失敗しないためにはどうすればよいかをお話していきます。

「追証」になるようなやり方は×

信用取引で失敗しないためには、

・レバレッジをかけ過ぎない

・損切りを適切なタイミングで行う

・同一の銘柄に資金を集中させ過ぎない

という3つのことが重要です。

 

信用取引では、これ以外にも失敗しないために気を付けるべき点があります。

第一に、「追証」になるようなやり方をしていては危険です。

 

※追証とは、「追加証拠金」の略で「おいしょう」と呼ぶ。信用取引で買った、もしくは空売りした株の含み損の額が大きくなると、証券会社に預けた証拠金だけでは足りなくなり、証券会社に追加で証拠金を差し入れる必要がある。

 

この追証が生じるのは、簡単に言えば含み損がたまっているのに損切りせずに我慢しているケースです。

 

もし追加で差し入れる証拠金がなければ強制決済で多額の損失が確定。さらに証拠金を追加で差し入れても、さらに株価が下がれば損失がどんどん膨らんでいってしまいます。

 

つまり、追証が生じるような事態になる前に、速やかに損切りして損失拡大を未然に防ぐことが重要です。

「逆張り」「我慢」は×

個人投資家の多くは逆張りを好みます。株価が下がっているときに、「そろそろ下げ止まるだろう」と買い向かう方法です。

 

しかし、特に信用取引においてはこの逆張りは厳禁です。

 

もし、現物取引であれば逆張りで買った株がさらに値下がりした場合、それを我慢して最悪そのままほったらかしにしておいたとしても、含み損を抱えた塩漬け株になるだけで済みます。

 

でも、信用取引で同じことをしたらどうなるでしょうか。株価が値下がりを続けたら、含み損がますます膨らんで、追証が発生してしまうことになります。

 

また、信用取引(制度信用取引)には通常6カ月という期限があり、期限が到来したら利益であろうが損失であろうが決済しなければなりません。追証までいかないにせよ、買ってから値下がりした株を我慢して持ち続けても、6カ月が経過したら強制的に損失が確定してしまうのです。

 

信用取引は期限があるわけですから、基本は短期勝負。となれば、株価が上昇していないのに、将来の上昇を気長に待つわけにはいきません。すでに上昇トレンドになっている株を順張りで買い、上昇トレンドの途中、もしくは下降トレンドに転じたら売るというスタンスが必要です。

「買い残」「売り残」をチェック

信用取引をする際にチェックしておきたいのが「信用買い残」「信用売り残」という指標です。

 

「信用買い残」とは、信用買いを行ってまだ決済を終えていない残高のことです。「信用売り残」とは信用売り(空売り)を行ってまだ決済を終えていない残高のことを言います。

 

なぜこれをチェックしておきたいのか? それは信用買い残は「将来の売り」、信用売り残は「将来の買い」につながるからです。

 

信用取引の期日は6カ月です。そのため、信用買い残の分だけ、6カ月以内に決済の売りが生じます。逆に信用売り残の分だけ、6カ月以内に決済の買い戻しが生じます。

 

ということは、信用買い残が多いと、将来の売りが多く出るため株価は上昇しにくく、信用売り残が多いと、将来の買い戻しが多く出るため株価は上昇しやすくなります。

 

特に注意したいのが、株価が下がっていると同時に信用買い残が増えているケース、そして株価が上昇していると同時に信用売り残が増えているケースです。

 

前者は個人投資家が信用買いで逆張りのナンピン買いを入れている状況、後者は逆張りのナンピン空売りを入れている状況です。それにより信用買い、空売りをしている個人投資家の含み損が膨らんでいます。

 

前者の場合は将来株価が上昇したら決済売りをしたい個人投資家が多くいるので、逆に株価は上昇しにくくなります。そのため信用買いは相対的に不利になります。

 

後者の場合は株価が下落したら買い戻しをしたい個人投資家が多いので逆に株価は上昇しやすくなります。そのため空売りのリスクは相対的に高くなります。

流動性の低い銘柄はリスクが高い

信用取引で筆者が注意しているのが、「流動性の低い銘柄は信用取引をしない」という点です。

 

信用取引で怖いのが、信用買いをしている銘柄に悪材料が出現して急落したり、空売りをしている銘柄に好材料が出現して急騰し、損失が大きく膨らんでしまうことです。

 

そしてこの株価急落や急騰は、流動性が低いほど発生しやすくなります。

 

例えば決算発表による株価の乱高下についても、もし流動性が高い銘柄であれば、ある程度の株価変動はあります。しかし、ストップ高やストップ安になるようなことはほとんどありません。

 

でも、流動性が低い銘柄の場合、時には何日も連続してストップ高やストップ安になることもあるのです。そうなったら、損切りの決済もできず、ばく大な損失を被る恐れもあります。

 

したがって、信用取引では流動性の低い銘柄はできるだけ避けた方が安全です。もし、取引をするにしても、少額にとどめておいた方が無難です。

筆者が絶対に信用取引をしない業種とは

筆者が信用取引をしない、するにしても少額にとどめるという業種があります。それが「バイオ関連銘柄」です。信用買いするにしても空売りするにしてもリスクが高いからです。

 

バイオ関連銘柄は、普段はあまり業績がさえないので株価が下落気味なことが多いです。しかし、それに乗じて空売りをした結果、「画期的な新薬開発!」と会社側から発表されることもある業種。下手をすると1週間以上も値がつかないほどの爆騰となり、空売りの損失が想像をはるかに超える額になってしまいかねません。

 

逆に、新薬開発が期待されて株価が上昇を続けている株に信用買いを行ったところ、会社側から「新薬に効能が認められないので開発は中止」という発表があったらどうなるでしょうか。

 

何日もストップ安売り気配が続き、売りたくても売ることができず、損失がとてつもない額に達してしまう恐れがあります。

 

このように、何か材料が発生した場合、想像を絶するような株価変動が起こる可能性がある業種、もしくは銘柄については、信用取引をしない、もしくは少額にとどめておくのが無難です。

 

信用取引には注意すべき点がいろいろとありますが、それさえしっかり押さえておけば資産拡大に資する有用なツールになります。無理に信用取引をする必要はありませんが、興味がある方は少額から始めてみてはいかがでしょうか。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所代表 公認会計士・税理士・ファイナンシャルプランナー

 

※本記事は、楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で2020年2月13日に公開されたものです。

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著者紹介

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