●民主党候補の指名争いでは、序盤でサンダース氏とブティジェッジ氏が接戦、バイデン氏は苦戦中。
●次の2戦ではバイデン氏の支持率が相対的に高いが、序盤2戦を終えて支持率変化の可能性も。
●この先はバイデン氏の巻き返しか、または、ブティジェッジ氏やクロブシャー氏の支持拡大かが焦点に。
民主党候補の指名争いでは、序盤でサンダース氏とブティジェッジ氏が接戦、バイデン氏は苦戦中
米民主党の大統領候補指名争いは、初戦のアイオワ州党員集会が2月3日、第2戦のニューハンプシャー州予備選挙が2月11日に行われました。アイオワ州党員集会では当初、前インディアナ州サウスベンド市長のブティジェッジ氏が最多の14人の代議員を獲得し、次いでサンダース上院議員が12人を獲得したと発表されました。しかしながら、両陣営の要請で再集計となり、日本時間2月13日午前8時時点で、最終結果は確定していません。
ニューハンプシャー州予備選挙について、各報道によれば、開票率97%でサンダース氏の得票率は25.9%と、ブティジェッジ氏の24.4%を僅差で上回り、ともに9人の代議員を獲得することになります。3位につけたのはクロブシャー上院議員で、獲得代議員数は6人です。まだ序盤の2戦を終えたところですが、全米で高い知名度を誇るバイデン前副大統領は苦戦を強いられています。
次の2戦ではバイデン氏の支持率が相対的に高いが、序盤2戦を終えて支持率変化の可能性も
なお、ニューハンプシャー州予備選挙で善戦したクロブシャー氏は、弁護士やミネソタ州ヘネピン郡の主任検察長を経て、2006年に女性として初めてミネソタ州の上院議員に選出されました。ブティジェッジ氏と同じ、中道リベラルとみられますが、トランプ米大統領の移民や国境政策に反対する一方、ウォーレン氏が廃止を主張する米移民税関捜査局(ICE)については、廃止の支持を表明していないなど、超党派主義的アプローチが政策の特徴です。
さて、第3戦となるネバダ州の党員集会は2月22日、第4戦となるサウスカロライナ州の予備選挙は2月29日に開催されます。それぞれの支持率は図表1の通りで、バイデン氏の支持率が相対的に高くなっていることが分かります。しかしながら、いずれの調査期間も、序盤2戦の前ということを勘案すれば、足元の支持率は図表1から変化している可能性が高く、注意が必要です。
この先はバイデン氏の巻き返しか、または、ブティジェッジ氏やクロブシャー氏の支持拡大かが焦点に
実際、全米での支持率に目を向けると、足元(調査期間2月4日から11日)では、バイデン氏の支持率が大きく低下し、サンダース氏がトップに躍り出ました(図表1)。またウォーレン氏の支持率が低下する一方、ブルームバーグ氏、ブティジェッジ氏の支持率が急速に伸びています。その結果、1位サンダース氏、2位バイデン氏、3位ブルームバーグ氏、4位ウォーレン氏、5位ブティジェッジ氏となっています。
民主党候補の指名争いは、まだ始まったばかりで、足元の支持率の変化だけで先行きを判断するのは早計です。ただ、リベラル派の候補については、サンダース氏に傾く兆しがみられ、中道派の候補もバイデン氏優位の流れから、混戦模様に変化しつつあるようにみられます。次の2戦では、バイデン氏が巻き返せるか、または、ブティジェッジ氏やクロブシャー氏が更に支持を広げるか、この辺りが注目ポイントと考えます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米民主党候補指名争いに早くも変化の兆し』を参照)。
(2020年2月13日)
市川雅浩
三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト