新型肺炎への懸念…中国人の移動制限が日本経済に及ぼす影響は

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中国を中心に新型肺炎の感染拡大が懸念されています。中国当局は感染拡大を抑制するため、国内外の移動を制限しています。今後、感染がどのように展開するかの憶測は避けますが、移動の制限による日本経済の影響を占う上で、基本的な数字を確認します。

コロナウイルスによる新型肺炎:中国での感染拡大、当局は拡散防止に移動を制限

中国湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の死者は足元の報道では中国本土で80人を超えると報道されています。同国の国家衛生健康委員会は、全土での感染症例が2744件に達したと発表しました。

 

中国国内での感染が拡大する中、中国政府は春節(旧正月)の連休の延長を決定すると共に、国内に続き国外への団体旅行を禁止すると通達しました。中国国内の団体旅行は禁止されていましたが、新型コロナウイルスによる肺炎の拡散を防ぐため、移動制限措置を拡大させました。

どこに注目すべきか:新型肺炎、インバウンド、旅行収支、爆買い

中国を中心に新型肺炎の感染拡大が懸念されています。中国当局は感染拡大を抑制するため、国内外の移動を制限しています。今後、感染がどのように展開するかの憶測は避けますが、移動の制限による日本経済の影響を占う上で、押さえておきたい基本的な数字を確認します。

 

まず、訪日外国人旅行者全体の「消費」する金額を国際収支統計の旅行収支の受取(訪日旅行者の消費:インバウンド)と支払(日本人の海外旅行消費:アウトバウンド)で見ると(図表1参照)、ネットでプラス(受取が支払を上回る)となっています。以前は旅行収支はマイナスでしたが、15年以後はプラス(足元4.8兆円程度)となっています。経済への影響を考える上で、SARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した03年頃とは様相が異なる点に注意が必要です。

 

年次、期間:2000年~2019年(11月迄) 出所:財務省、日本銀行のデータを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表1]日本の旅行収支(受取、支払、ネット)の推移 年次、期間:2000年~2019年(11月迄)
出所:財務省、日本銀行のデータを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

なお、経済成長など国民経済計算では、この受取額に相当するのが「非居住者家計の国内での直接購入」で、いずれにせよ海外取引を通じ日本経済にプラス寄与しています。

 

海外旅行者全体の購入額ではなく、中国の旅行者の日本での消費額を見ると、19年は中国が1位で1.8兆円と全体の4割弱(図表2参照)でした。なお、18年は韓国が2位でしたが、日韓関係の悪化で韓国の19年は3位となっています。

 

年次、期間:2018年(左) ~2019年(右、速報値)、数字の単位は兆円 出所:国土交通省データを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表2]国・地域別訪日外国人旅行者消費額の構成比 年次、期間:2018年(左) ~2019年(右、速報値)、数字の単位は兆円
出所:国土交通省データを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

中国の旅行者というと「爆買い」というイメージがありますが、この点を確認します。ヒントになりそうなのは訪日外国人1人当たり旅行支出です(図表3参照)。特色として注目したいのは、欧米の旅行者は宿泊費がトップで、飲食費が続きます。

 

時点:2019年暦年(速報値)、単位は万円/人 出所:国土交通省データを使用してピクテ投信投資顧問作成
[図表3]国別の訪日外国人1人当たり費目別旅行支出 時点:2019年暦年(速報値)、単位は万円/人
出所:国土交通省データを使用してピクテ投信投資顧問作成

 

これに対して、中国の旅行者は宿泊費と飲食費の合計よりも買い物額が高いのが特色です。なお、欧米の宿泊費や食費が高いのは、訪日外国人に短期ビジネスなどが多く含まれるためと思われます。出張で都心のホテルに宿泊し、お土産を買って帰るイメージです。最近は爆買いは減少傾向と言われながらも、中国の買物出費は相対的に高いようです。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『新型肺炎への懸念…中国人の移動制限が日本経済に及ぼす影響は』を参照)。

 

(2020年1月27日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

 

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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