現状の緩和策を維持
■欧州中央銀行(ECB)は23日の理事会で、市場の予想通り、現状の金融緩和策を維持することを決定しました。主要政策金利を0%、中銀預金金利(銀行がECBに余剰資金を預ける際の金利)を▲0.5%に据え置きました。昨年11月に再開した量的緩和政策は月200億ユーロの買い取りペースを維持しました。
金融政策の総点検を開始
■今回の理事会で最も注目されたのは、ラガルド総裁が表明していた金融政策の総点検です。ECBは金融政策戦略の見直しを20年末までに完了すると宣言しました。
■総点検は、現在「2%近く」としている物価目標の見直しが軸になる見通しです。ECBが政策の総点検を行うのは、大胆な金融緩和を続けているにもかかわらず、物価が目標水準に上がってこないことが背景です。世界的に低成長・低インフレが定着するなか、現在の物価目標が適切か、マイナス金利政策の効果・副作用の分析などとあわせて、今後1年程度かけて点検していく方針です。
当面は現状の金融緩和策を維持
■ラガルド総裁は、米中が通商交渉で「第1段階」の合意に達したことについて経済の下振れリスクがやや後退したと指摘したものの、欧州経済への影響を慎重に見極める姿勢を示しました。
■ECBは今年に⼊ってから、金融政策の総点検の作業を開始しており、作業が完了するのは今年末頃の予定になっています。それまでは、経済に対して追加的な負のショック(特に⽶欧対⽴、EUと英国の貿易交渉、イタリアの政治などがリスク要因)が加わらない限り、ECBは様⼦⾒を続け、現状の金融緩和策を維持するとみられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年1月、ECBは現状の金融緩和策を維持』を参照)。
(2020年1月24日)
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