グローバル化が急速に進むなか、子どもに英語のみならず、国際感覚を直接現地で身につけさせたいと考える富裕層が増えている。本記事では、数多くの留学サポートを手がける株式会社アエルワールドで海外生活カウンセラーとして親子留学を担当する北原万紀氏が、「海外留学」、「家族長期留学」等についての最新事情を解説する。

賃料や物価の高騰があっても根強い人気の欧米

『英語の習得』という目的だけであれば、欧米でなくても、アジアの新興国などにも留学できる時代となりました。とはいえ、留学先のトレンドが大きく変わったかというと、そうではないように見えます。第一言語が英語であるアメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドは相変わらず人気です。

 

お父さまが日本に残り、母子だけ留学するケースでは、時差が1時間程度で直行便の多いオーストラリアが人気です。シドニーやメルボルンなどの主要都市だけではなく、ブリスベン、ゴールドコースト、アデレードなど、長期的に「家族らしい生活」を維持できるかどうかが、居住のポイントになっています。比較的温暖で、日本の都市圏よりも広々とした青空・海、自然豊かな公園が広がる景色は、子育てをする人には魅力的なようです。

 

ゴールドコースト
ゴールドコースト

 

カナダやアメリカは、北米に留学経験のある親御さんを中心に人気です。アメリカでの大学進学を視野に入れ、カリキュラムの相性を考える方、幼いお子さまに英語に触れさせるなら、やっぱり綺麗なアクセントを習得させたいと考える方はいまだ多いものです。

 

また、親の留学に子どもがついて行く場合、一部の州では学費が無料になるケースがあります。学びに意欲的なお母さまは、こういった制度をうまく活用されます。決して容易ではありませんが、そこから永住権を目指す方も少なくはありません。

 

根強い人気を誇るアメリカ・カナダ
根強い人気を誇るアメリカ・カナダ

 

アメリカは、保護者が子どもの留学についていくためのビザがないことから、ほかの欧米諸国よりも比較的難易度が高くなります。したがって、起業ビザや投資ビザ・投資永住権を使い、家族でビザを取得するケースが一番多くなります。はじめから留学希望というよりは、「家族の移住」という相談のなかから、結果的に留学相談へといたるケースが多い印象です。

 

なお、「少しでも早く英語力を学びたい」と、海外生活の準備として移住の前の親子留学も増えてきました。特に米国投資永住権(EB-5)は、承認期間が1年〜2年と長いため、その間に、カナダやオーストリアに家族で留学する人も少なくありません。

アジア・中東などの新しい留学先の特徴とは?

この連載でもいくつかご紹介しましたが、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ドバイ(UAE)など、英語を母国語としない国や地域への留学が増えていることも、ひとつのトレンドといえます。

 

ただし、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドが「現地のカリキュラムへの適応」のなかで英語を習得していくのに対し、アジアや中東圏での留学は「インターナショナルスクールへ通学すること」が求められます。これが一番大きな違いです。

 

インターナショナルスクールも、イギリス系、アメリカ系、カナダ系、オーストラリア系、インド系などさまざまです。学校内は欧米圏のカリキュラム、学校から出るとアジアや中東の景色と生活が広がるという、多種多様な空間が入り混じるのが特徴ともいえるでしょう。

 

欧米とは異なる魅力を秘めた新興国
欧米とは異なる魅力を秘めた新興国

「欧米第一」の時代は終わった?

昨今、英語を話す人口の内訳を見ると、英語を母国語とせず、第二言語として習得している人ほうが多くなりました。さらに、それらの国々を中心に、先進国がたどった成長モデル・成長期間では考えられないイノベーション/社会構造の変化が、世界のあちこちで起きています。

 

技術や仕組みの集積は、いまだ欧米諸国が担っているように見えます。しかし、機能を維持するための戦略と施策は、「国を超えて優秀な人材を如何に集められるか」というところにあるようです。「欧米第一」という考え方が足かせになる時代も、そう遠くはないように思えます。

 

私たちが「国」と思っているものは、蓋を開けてみると、「多様なバックグラウンドを持った個人の集まり」という側面を秘めています。異質なものを持ち寄るなかにイノベーションの種があり、才能の集まりが技術革新を起こすのだとしたら、異質なものにこそ価値が出てくる時代がきていると考えられます。

 

基礎学力をしっかりとつけながら、欧米圏の名門大学を目指すインターナショナルスクールは、多様な価値観が入り混じる文化と教育環境が整う不思議な魅力を持っています。新しい時代に対応するためには、最適な選択肢ともいえるでしょう。

言語の習得が「目的」から「手段」となった時代

「留学」という経験に希少性があった時代とは異なり、語学の習得はもはや、世界を舞台にしていく子ども達には必須のスキルになりました。

 

言語の習得が「目的」から「手段」となり、その先を考えた環境選びのなかで、家族で海外に長期留学することや、移住を検討するご家族が増えていることは、この連載でも何度もお伝えしてきたとおりです。

 

もちろん言語習得、教育という価値観でご検討されることが前提にあってのことですが、駐在・出向またはセミリタイヤ後のセカンドライフとして、海外に子どもと長期滞在するという選択が可能な時代になりました。今後も、自由、未来の可能性を求めて、家族の新しいライフスタイルを実現してください。

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