グローバル化が急速に進むなか、子どもに英語のみならず、国際感覚を直接現地で身につけさせたいと考える富裕層が増えている。本記事では、数多くの留学サポートを手がける株式会社アエルワールドで海外生活カウンセラーとして親子留学を担当する北原万紀氏が、「海外留学」、「家族長期留学」等についての最新事情をレポートする。今回は特別編として、純資産10億円以上のビリオネア・セレブリティにだけが住むことを許された船上レジデンス「The World」の住民である、人間行動学の権威Dr.ディマティーニに自身の教育観について伺ったインタビューをお送りする。

「家にいながら旅をする」船上レジデンスとは?

世界唯一の船上レジデンス「The World」をご存知でしょうか。純資産10億円以上のビリオネア・セレブリティにだけに許された海の上のレジデンスです。この「The World」が数年ぶりに日本に寄港したため、そのレジデントの1人であるジョン・F・ディマティーニ氏(以下、Dr.ディマティーニ)に、金沢の船上で特別にインタビューすることができました。

 

世界唯一の船上レジデンス「The World」は、100平米の部屋が約4億円、一番狭いStudioタイプの部屋でも約2億円といわれています。部屋数は164室あるにも関わらず、住人に特別に招待されて乗船している人数を含めても、常時約150~200名しか乗っていません。

 

この船のコンセプトは「家にいながら旅をする」。住人は、航路とスケジュールに合わせて世界中の港で自由に乗降します。船の上で帰りを待つクルーたちに、「おかえりなさい」と出迎えられながら、「ただいま」と好きな時に戻って来るのです。

 

購入価格の約10%が年間の維持管理費にあてられるため、投資目的で購入する人はほぼおらず、「家にいながら旅がしたい」というコンセプトに共感した人が購入しているとのこと。レンタルが可能なため、オーナー同士による貸し借りも頻繁に行われるのだとか。

 

さらに部屋は改装可能で、どんな内装なのか興味をそそられますが、売りに出ている物件の写真すら、正式な購入希望を出さない限り見ることができません。購入に関する情報がほとんど出回らず、船の存在すら知らない人が多いのは、この特殊性ゆえ。船上だけにある「居住者のコミュニティ」に参加を許されるかどうか、その条件は通常のクルーズ船とは大きく異なります。

 

もちろん「購入資格のあるビリオネアであること」、「保有資産が条件を満たしていること」は必須。加えて、すでにこの船の居住権を持つレジデントからの推薦や、有料(約100万円)の身元調査をパスする必要があります。本当に限られた人にしかアクセスができない情報と空間なのです。

 

Dr.ディマティーニは、人間行動学の権威であり、ビジネスコンサルタントでもあります。その総資産は数千億円と言われており、「The World」がノルウェーで就航した2002年以来、17年以上レジデントであり続ける、数少ないメンバーの1人です。

 

1年間のうち、350日は世界のどこかで講演している「旅」と「人生」が直結した生き方。いつもは教育者として、「仕事(キャリア)」や「富の構築」についてのインタビュー・講演が多いDr.ディマティーニに、今回は3人の子どもを持つ父親として、ご自身の「家族」と、家庭における「教育」について伺うことができました。

 

船上レジデンス「The World」
船上レジデンス「The World」

自身の学習障害の克服と研究から生まれた教育メソッド

――Dr.ディマティーニは講演などでどのようなことを教えていらっしゃるのですか。

 

「私は1年365日のうち、350日は世界中を飛び回っています。これまでに60ヵ国以上で、私の研究を講演やセミナー・トレーニングを通じて提供してきました。私は学習障害をもち、文字を読むことも書くことも、うまく発話することもできず、学校をドロップアウトし、ストリートチルドレンになった経験があります。18歳の時にハワイである人物と出会うまでは、自分の人生を諦めていました。

 

ポール・ブラッグとの出逢いで、私の人生は変わったのです。「自分が偉大な人間になれる」と思えるようになったのです。それから世界中で教える、国際的なTeacher(先生)になることが私の夢になり、今年私は65歳になりますが、それが現実になっています。

 

私が教えているのは、主に「自己開発・自己変革」のメソッドですが、それは人間の普遍的な原理をベースに開発したものですので、年齢・業界に関わらず、あらゆる人に適用できます。また、個人だけでなく企業・社会など、あらゆるサイズのコミュニティにおいて、人間関係・経済状況などを根本的に改善または変革させるためのものでもあります」

 

――ご自身のご家族と教育観について教えてください。

 

「妻はすでに他界していますが、私には3人の子どもがいます。長女のAlama(34歳)は、私の会社を手伝いながらコンサルタントをしています。次女のBreccia(31歳)は、ファッションデザイナーで、オンラインでの販売やカスタムデザインなども手掛けています。私が着用しているスーツは彼女がデザインしたものです。さらに彼女は、私の開発したメソッドを人に教えるファシリテーターでもあります。長男で末っ子のDaniel(29歳)は、ゲームのYoutuberです。ゲームが大好きで、ゲームを通じて、自分と人の人生を満たすことを生業にしています。

 

私は常に飛び回っていますから、いつも家にいるわけではありませんでした。また、他界した妻も非常に忙しい人で、二人して家族に構っていられなかったこともあります。『いつもいるよ』という心の面でのサポートができても、物理的に隣にいたわけではありません。子どもたちがそれぞれ16~22歳くらいのころは反抗期も重なり大変でした。日本の子育てにおいてもそうでしょう。ただ、私は昔ストリートチルドレンであった経験がありますし、私の子どもの時に比べると大したことはない。可愛いものですよ」

 

――教育者としての教育とご自身の子育てに違いはありますか?

 

「違いはありません。世界中で教えていることと同じメッセージを伝えています。子どもたちには何でも自分で決めさせるようにしてきました。彼らが夢中になれることをやって、自分自身をインスピレーションで満たし、それぞれが自分の使命だと思えることに生きてほしいと思っています。

 

それが私自身もやってきたことですし、私が世界中で教えていることです。テクノロジーが発達し、メール機能が進歩してからは、子どもたちとも頻繁に連絡をとれるようになりました。今では子どもたちの方からメッセージや写真・動画などを送ってくれるので、どこにいても様子がわかります。とても良い時代です」

 

――最後に子どもを持つ日本の方々にメッセージはありますか?

 

「私を成功者と呼ぶ人もいますが、私自身はあまり意識したことはありません。自分が愛することをやり続けた結果、それだけで満たされる人生になりました。空間・時間・エネルギー・お金などをどのように使って、何をしているかの積み重ねが人生を作り上げるので、それらを自分が愛するもので満たせば、あなたの人生そのものが満たされるようになります。

 

私の場合は、教えること・旅をすること・研究することを続けたおかげで、今の満たされた人生に繋がりました。しかしこれらは、「読み書きができない、うまく体が動かない、うまく発話できない」という私の幼少期の経験があってこそなのです。小学生の低学年くらいの男の子が父親に連れられ、私のプログラムに参加したことがあります。父親の悩みは、息子がまったく勉強に集中ができないため、どうしたら良いかというものでした。

 

私は、その男の子にいくつかの質問を投げかけました。すると、彼は車が大好きで、車のこと以外は考えられないほど愛しているということが分かりました。そして、その年齢では考えられない知識と情報をすでに持っていたのです。それからしばらくして、その男の子は車を販売する会社を起業しました。この男の子は特別なケースだと感じますか? 人間の普遍的な原理を研究してきた私には分かります。あなた自身も、あなたのお子さんも例外ではないのです」

 

The World (英語版)

https://aboardtheworld.com/

Dr. ディマティーニ プロフィール(日本語サイト)

https://www.yaruken.com/profile/

Dr. ディマティーニ創設の教育機関 Demartini Institute(英語サイト)

https://drdemartini.com/

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