円安・株高の想定なら、ある程度は日本株へ
現在、想定できる範囲で有効なポートフォリオの例を見ていきます。
【シナリオ別ポートフォリオ事例① 拡大成長シナリオ】
アベノミクスが成功し日本経済が復活の狼煙を上げる、そんなシナリオです。このシナリオのポイントは「円安が進行して、日本株が上昇する」という前提です。日本株の比重が上昇するために、ある程度の比率で日本株に投資しておくことが重要でしょう。そして、海外資産も円安の恩恵を受けるために、ある程度保有しておくといいかもしれません。ポートフォリオの基本としては次のような資産構成が考えられます。
●現金・・・・・・20%
●日本株・・・・・30%
●国内不動産・・・30%
●外貨資産・・・・20%
現在の経済情勢がそのまま推移していく、というシナリオですから、基本型から少しずつ国内リスク資産にシフトしていくことが得策ではないでしょうか。さらに、個人によって安定型と積極型にアレンジしていきます。
【図表1 拡大成長シナリオのポートフォリオ】
経済が不安定なら、安定運用型ヘッジファンドに注目
【シナリオ別ポートフォリオ事例② 一進一退シナリオ】
アベノミクスや東京オリンピックによる経済効果が有効とならず、今後数年は一進一退になるシナリオです。為替市場が思ったほど円安にならずに、株式市場も現在の水準から大きくぶれずに推移するために、個人投資家のスキルだけで勝つのはなかなか難しい局面といえます。
したがって、デフレの再現を予測して現金の比率を若干増加させます。さらに、円安になる可能性も考慮して外貨資産も30%に増やします。具体的には、次のようなポートフォリオが考えられます。
●現金・・・・・・・・・・・・・25%
●安定運用型のヘッジファンド・・30%
●その他国内資産・・・・・・・・15%
●外貨資産・・・・・・・・・・・30%
ここで注目したいのは、安定運用型のヘッジファンド。マーケット・ニュートラル運用のような安定した収益が得られるヘッジファンドであれば、株式市場の市場価格の上下に左右されずに、ある程度の収益を見込むことができます。
アベノミクスへの期待から買われていた日本株ですが、日本経済の一進一退で外国人投資家の失望売りなどが膨らんで、大きく乱高下することが予想されます。そのため安定して収益が確保できるヘッジファンドへの投資が必要になります。こうした状況では、市場全体の上昇による収益を狙わずに、個別銘柄の選別投資による収益を目指すヘッジファンドが強みを発揮します。「その他国内資産」の15%は、15%のなかでも分散投資を心がけてください。たとえば、商品ファンド、不動産REIT、PBR(株価純資産倍率)の低い日本株投資などが考えられます。
外国資産では、現在の状況では米国不動産がおすすめですが、米ドルや不動産に不安がある場合は、オーストラリアドルやユーロ、新興国の通貨などに分散投資するほうがいいかもしれません。
【図表2 一進一退シナリオのポートフォリオ】
次回も引き続き、現在、想定できる範囲で有効なポートフォリオの例を見ていきます。