米国株式市場…予想PER18倍台は維持可能か?

低金利持続がドライバーだが利益水準の改善に期待/デイリーマーケットレポート

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 調査部
米国株式市場…予想PER18倍台は維持可能か?

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供するデイリーマーケットレポートを転載したものです。

S&P500は史上最高値を更新

米中部分合意を好感

 

■米国株式市場は、大きな懸念材料であった米中貿易交渉が部分合意に至ったことで、世界景気の先行きに対する期待が強まり、株価上昇に拍車がかかっています。19日にS&P500種指数は3,205.37と初の3,200乗せとなりました。NYダウ平均株価、NASDAQ総合指数も再び史上最高値を更新しました。

 

(注)データは2017年1月3日~2019年12月19日。株価収益率(PER)の倍数に予想1株当たり利益(EPS)をかけてS&P500種指数の水準を試算。1株当たり予想利益は12カ月先予想(Bloomberg L.P.集計)。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
PERの倍率で試算したS&P500種指数 (注)データは2017年1月3日~2019年12月19日。株価収益率(PER)の倍数に予想1株当たり利益(EPS)をかけてS&P500種指数の水準を試算。1株当たり予想利益は12カ月先予想(Bloomberg L.P.集計)。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

予想PERは18倍台に乗る

2017年10月以来

 

■株価上昇によって、S&P500種指数の12カ月先予想株価収益率(PER)が18.1倍と2017年10月以来の18倍台乗せとなりました。前回と今回では大きな相違点が2点あります。

 

■第1点は、2017年当時は予想利益が大きく上昇したことです。トランプ大統領が法人税減税を実施したことで、将来の成長に対する期待が大きく膨らみ、PERが拡張しました。今回は利益水準の改善は極めて緩やかです。

 

■第2点は、長期金利の水準が低いことです。2017年当時の10年国債利回りの水準は2.3%~2.8%台で推移しました。現在は1.8%~1.9%です。10年国債利回りとPERの逆数である益回りの差を調べると、2017年当時は▲3.1%ポイント前後で、足元は▲3.6%ポイントと当時よりも割高感がありません。

 

(注)データは2017年1月3日~2019年12月19日。益回りは予想PERの逆数。イールド・スプレッドは10年国債利回り-益回り。イールド・スプレッドは数字が小さくなる(マイナスであればマイナス幅が拡大する)と長期金利に比べて割安な状態であると考えられます。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
イールド・スプレッドの推移 (注)データは2017年1月3日~2019年12月19日。益回りは予想PERの逆数。イールド・スプレッドは10年国債利回り-益回り。イールド・スプレッドは数字が小さくなる(マイナスであればマイナス幅が拡大する)と長期金利に比べて割安な状態であると考えられます。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

低金利持続がドライバーだが利益水準の改善に期待

■今回の予想PER18倍台は低金利が支えていると言えそうですが、今後はやはり業績の改善が重要です。業績予想の改善度合いを示すリビジョン・インデックスを見ると、2017年当時はプラス圏に浮上し、株価を下支えしました。現在(12月12日、4週間移動平均)は▲12.9で改善途上にあります。景況感の改善が強まり、増益期待が高まることによって、リビジョン・インデックスのプラス転換も可能です。米中の部分合意が円滑に履行され、業績の好転を伴えば、米国株式市場は予想PER18倍台を維持できると考えられます。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米国株式市場…予想PER18倍台は維持可能か?』を参照)。

 

(2019年12月20日)

 

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