対米ドルはほぼ横ばい
過去最少の変動幅に
■2019年の円相場は対米ドルで、歴史的に極めて狭いレンジで推移しています。足元の水準は昨年末比ほぼ横ばいで、年間では変動相場移行後の過去最少幅となりそうです。今年は日本の休暇の1月3日に、瞬間的に円が急騰し、一時104円台を付け波乱の幕開けとなりましたが、すぐさま107円台に戻りました。その後円相場は、4月にかけて堅調な米景気を背景に112円台まで下落しました。しかし、夏場にかけては米中貿易摩擦の激化と世界的な景気減速、米金融政策の緩和への転換から円高が進行し、8月には一時再び104円台まで上昇しました。9月以降は米中通商協議の進展期待や米株式市場の上昇を受けて、投資家のリスク選好姿勢が強まり、年末にかけて109円台に下落しました。
■一方、対ユーロは、欧州景気の減速やECBの金融緩和を受けて円高となりました。対英ポンドは、総選挙での与党勝利により、英国の欧州連合(EU)離脱に関する政治混迷の収束期待から円安となりました。
対新興国通貨では円高
堅調なドルに連れ高
■円相場は主な新興国通貨に対し上昇しました。世界景気の減速懸念が強まる中、8月に中国が通貨安を容認したこともあり、対新興国通貨でドル高が進み、円が連れ高となったことが背景です。ただし、米連邦準備制度理事会(FRB)が7月以降3会合連続で利下げを実施したことで新興国通貨は持ち直してきました。
対米ドルは引き続きレンジ相場が続く
■米中通商交渉が部分合意に達したことで、2020年の世界経済は持ち直すことが期待されます。FRBは現状の金融緩和政策を維持するとみられる中、トランプ大統領は大統領選挙を控え、経済や金融市場に目配りした姿勢を示すと考えられ、投資家のリスク選好姿勢は継続しそうです。円相場は対米ドルで引き続きレンジ内の動きが続く可能性が高いと思われます。対ユーロも、ECBの金融緩和強化の可能性があるものの、レンジ内の推移にとどまるとみられます。対新興国通貨は、政治リスクなどにより選別色が強まると見込まれます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年の為替市場の振り返り…対米ドルは過去最小の変動幅』を参照)。
(2019年12月19日)
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