米中交渉の進展から一段高
台湾は年初来30%超の上昇
■アジアの株式市場は、12月に入り上昇に拍車がかかる展開となりました。米中交渉が「第1段階」の通商合意に至り、12月の対中追加関税が見送られたことが最大の上昇要因です。英総選挙での保守党の大勝なども、投資家のセンチメントの改善に寄与したと考えられます。
■アジア株価指数(MSCI AC アジア(除く日本)、米ドルベース)は、12月17日現在683.24と4月17日につけた高値(686.12)は更新できていないものの、年初来の上昇率は14.5%です。中国、韓国も同様に高値の更新には至っていませんが、同19.1%、同9.8%でした。中でも台湾は、「情報技術」のウエイトが65%を占め、「情報技術」にけん引され、年初来高値を更新しました。同上昇率は33.1%を記録しました。
上昇が加速する「情報技術」
企業業績は緩やかに改善
■主要セクターを見ると、「情報技術」が急激な上昇となりました。年初からの上昇率は「情報技術」が39.6%です。また、「一般消費財」も32.5%の上昇率でした。企業業績を見ると、「情報技術」の業績見通しが、9月を底に着実に改善に向かっています。
更なる上昇には利益の大きな改善が必要か
■株価は堅調ですが、主要セクターの利益水準はアジア全体で見ても年初の水準に戻ったわけではなく、足元の株価水準は期待が先行していると考えられます。アジア株価指数の12カ月先予想株価収益率は13.7倍と過去2年間の平均値12.4倍を上回っています。また、台湾は18.8倍と同14.8倍を大きく上回っています。アジアの株式市場が更に上昇するためは、期待が実現して企業利益が大きく改善することが必要となりそうです。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『台湾は年初来30%超の上昇…アジア株式市場の盛況を読む』を参照)。
(2019年12月18日)
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