バイオ医薬品関連企業の株価動向
11月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は上昇しました。11月のバイオ医薬品セクターでは、前月からの上昇基調が継続しました。株式市場全体に対する出遅れ修正に加えて、複数の企業が治験や規制関連の好材料を発表したことや、M&A(合併・買収)関連のニュースが続いたことが好感されました。
株価が大きく上昇した銘柄では、バーテックス・ファーマシューティカルズ(米国)、アルナイラム・ファーマシューティカルズ(米国)、グローバル・ブラッド・セラピューティクス(米国)およびニューロクライン・バイオサイエンシズ(米国)などが挙げられます。
バーテックス・ファーマシューティカルズは、10月に米食品医薬品局(FDA)に承認された3剤配合の嚢胞性線維症治療薬や英国で同社治療薬が使用可能になったことなどへの期待から、先月に引き続き大きく上昇しました。
アルナイラム・ファーマシューティカルズは、四半期決算が好調だったことに加え、経営陣がキャッシュフローの黒字転換の可能性に言及し、株主に優しい姿勢を示したことが好感されました。また米FDAが急性肝性ポルフィリン症治療薬候補ギボシランを早期に承認したことや、ノバルティス(スイス)によるメディシンズ・カンパニー(米国)(アルナイラムはメディシンズの有力な新薬候補LDLコレステロール低下薬インクリシランに技術供与を行っており20%のロイヤリティを受け取ることができます)の買収なども株価の上昇要因となりました。
グローバル・ブラッド・セラピューティクスは、鎌状赤血球症治療薬オキシブリタ(ボクセロトール)が米FDAにより承認されたことが好感されました。
ニューロクライン・バイオサイエンシズは、主力製品の遅発性ジスキネジア治療薬イングレッサの販売が好調だったことなどが好感されました。
株価が下落した銘柄では、GWファーマシューティカルズ(英国)ならびにオブスエバ(スイス)が挙げられます。GWファーマシューティカルズは、7-9月期決算は市場予想を上回りましたが、今後の見通しの不透明感から株価が大きく下落しました。オブスエバは、妊娠継続促進薬候補のフェーズ3治験が失敗したことが影響しました。
今後のバイオ医薬品市場見通し
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。
資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表5参照)。
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表6参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表7参照)。
バリュエーション
2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株価の調整を受け低下しています(図表8参照)。
※記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。また、当資料におけるデータは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年11月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2019年12月13日)
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策
【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法
【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」
【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説
【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】