11月の投資環境
11月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数(現地通貨ベース)で上昇しました。
世界の株式市場は、月初から米中貿易協議が部分的な合意に至るとの期待や、10月の米雇用統計で非農業部門雇用者数が市場予想を上回って増加したことなどを背景に上昇基調となりました。その後、一時的に米中貿易協議に対する楽観的な見方の後退や香港情勢への懸念などが株式市場の重石になる場面もありましたが、月末にかけては英国の欧州連合(EU)離脱に対する楽観的な見方や、米中双方から米中貿易協議が「第1段階」の合意に近いとの認識が示されたことなどがプラス要因となり上昇基調を維持し、月間でも上昇しました。
業種別では、情報技術、ヘルスケア、コミュニケーション・サービス、資本財などが市場平均を上回って上昇した一方、公益事業が下落、エネルギー、生活必需品は小幅な上昇にとどまりました。
こうした中、水関連企業(現地通貨ベース)の株価は市場と比べると小幅な上昇にとどまりました。装置製造エンジニアリングセクターは、特にモニタリング関連銘柄にけん引され最も上昇しましたが、環境マネジメントサービスは市場に比べ小幅な上昇にとどまり、上下水道ビジネスセクターは下落しました。
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上下水道ビジネスセクターでは、英国の水道銘柄は水道事業などの再国営化を主張する労働党政権となる可能性が低下したとの観測から堅調な展開となりましたが、利益確定の売りに押された米国の水道銘柄や市場全体が下落した新興国の水道銘柄などが軟調でした。
装置製造エンジニアリングセクターでは、ダナハーが株主に対して、9月に同社から分離(スピンオフ)した歯科用機器・製品のエンビスタ・ホールディングス株への株式交換を提案したことが好感され上昇しました。一方、ザイレムは失望的な業績と2019年の見通しを引き下げたことなどから下落しました。
環境マネジメントセクターでは、カナダのコンサルティング企業のスタンテックは、建設関連の事業比率を引き下げるなど事業モデル全体のリスク引き下げを行ってきましたが、これまで株式市場からはあまり評価されてきませんでした。しかし事前予想を上回る業績発表と12月に発表が予定されている新長期計画への期待から大きく上昇しました。
今後の見通し
足元では、貿易問題や米国の金融政策、地政学的リスクなどマクロ経済見通しを不透明にする多くの要因があり、世界の経済成長に対してプラス、マイナスの両方に作用しています。不透明な環境は、世界全体の製造業景気指数が弱気な見通しを示すなどビジネス・センチメントに影響しています。グローバルな2019年の企業業績は2018年より緩やかなぺースで成長すると予想されていますが、GDP成長率見通しは2018年並みとされています。
水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズは堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。
※記載されている個別の銘柄・企業については、あくまでも参考であり、その銘柄・企業の売買を推奨するものではありません。また、当資料におけるデータは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年11月の水関連株式市場』を参照)。
(2019年12月12日)
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