「FOMC」レビュー…政策金利、来年いっぱいの据え置きを示唆

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●政策維持は予想通り、声明では文言の微調整で、景気に対するリスクがやや後退したことを示唆。
●ドットチャートでは13人が2020年の政策据え置きを見込み、12人が2021年の利上げを見込む。
●パウエル発言からも、利上げを急がないことが確認され、FOMCは市場を動揺させず、無難に終了。

政策維持は予想通り、声明では文言の微調整で、景気に対するリスクがやや後退したことを示唆

米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月10日、11日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、大方の予想通り、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を年1.50%~1.75%で維持することを決定しました。市場では、2020年以降の金融政策について、FRBがどのような方向性を示すかに注目が集まっていましたので、その点を中心に、以下、主なポイントを確認していきます。

 

まず、FOMC声明について、景気の現状判断は前回から変更なく、現在の政策スタンスは適切との見解が示されました。ただ、「見通しへの不確実性は残っている」との文言は削除され、また、「海外動向や抑制されたインフレ圧力」の文言は、前回利下げの根拠として用いられましたが、今回は先行きの政策判断の材料として示されました。これらの変更は、景気に対するリスクが足元でやや後退したことを示唆するものと思われます。

ドットチャートでは13人が2020年の政策据え置きを見込み、12人が2021年の利上げを見込む

FOMCメンバーによる経済見通しは、失業率を除き、大きな変更はありませんでした。失業率については、予想中央値の修正が目立ち、2019年と長期が0.1%ポイントの引き下げ、2020年から2022年までが0.2%ポイントの引き下げとなりました。そして、今回のFOMCで、特に注目されたのが、FOMCメンバーが適切と考える政策金利水準の分布図(ドットチャート)でした。

 

中央値が示唆する年間の政策変更回数は、2020年は0回、2021年と2022年は、0.25%の利上げがそれぞれ1回ずつとなりました(図表1)。詳細をみると、17人のメンバーのうち、13人が2020年の政策据え置きを見込み、12人が2021年の利上げを見込んでいます。前回9月のドットチャートと比べると、ドットの分布が下方にシフトしており、今回はハト派的な見通しが示されたことになります。

パウエル発言からも、利上げを急がないことが確認され、FOMCは市場を動揺させず、無難に終了

記者会見におけるパウエル議長の発言で、特に注目されたのは、物価に関するコメントでした。具体的には、①今は金融政策を緩和的にして物価を押し上げる必要がある、②失業率は低水準だがインフレは加速しておらず利上げの必要性は小さい、③金融引き締めにはインフレの水準が一定期間持続することが必要、などです。なお、パウエル議長は③について、まだ金融政策の先行きの方針にはしていないと補足しています。

 

今回のFOMCは、ほぼ市場の予想通りとなりましたが、ドットチャートや、パウエル議長の発言から、FRBは利上げを急がないということが確認されました。パウエル議長の記者会見後、米10年国債利回りは低下し(図表2)、ドル円はドル安・円高に反応しました。米主要株価指数は上昇しましたが、米中貿易協議の結果待ちで、小幅高にとどまりました。総じて今回のFOMCは、市場を動揺させることなく、無難に終了したといえます。

 

(注)データは2019年12月11日時点。利上げ回数は予想中央値が示唆する0.25%の年間利上げ回数。 (出所)FRBの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]ドットチャートから得られる情報 (注)データは2019年12月11日時点。利上げ回数は予想中央値が示唆する0.25%の年間利上げ回数。
(出所)FRBの資料を基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)データは2019年12月11日23:30から12月12日6:00。日時は日本時間。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]ダウ工業株30種平均と米10年国債利回り (注)データは2019年12月11日23:30から12月12日6:00。日時は日本時間。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「FOMC」レビュー…政策金利、来年いっぱいの据え置きを示唆』を参照)。

 

 

(2019年12月9日)

 

 

市川雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト


株式会社三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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