フェーズ1合意に対する不透明感から調整
ただ、4日の米国株式市場は落ち着いた動き
■4日の日本株式市場は、米国株式市場の下落と円高進行を背景に調整しました。米トランプ大統領が米中交渉を急がないと発言したことからフェーズ1合意が遅れる可能性が高まったこと、ロス米商務長官が12月15日の追加関税発動について言及したことなどから、再び緊張感が高まったことが背景です。ただ、米国のいわゆる恐怖指数(VIX)は3日に16.0に上昇したものの、4日には14.8まで低下し、NYダウ平均株価も前日比146.97ドル上昇して2万7,649.78ドルで引けるなど、落ち着いた反応を示しています。
米中交渉は引き続き進展すると期待される
追加関税発動前のフェーズ1合意の可能性
■市場は今回のトランプ大統領の発言を比較的冷静にとらえているようです。仮に追加関税が発動されたとしても、これまでの追加関税の影響が徐々に薄れる可能性が指摘される中、今後のグローバル景気の回復に致命的な影響を与えないと見られること、その後は大統領選挙戦に向けた動きが活発化する中で、米中の景気に悪い影響を及ぼす対策を打つ可能性が極めて低いこと、などが背景です。米国の交渉担当者の発言として、追加関税の発動前にフェーズ1合意が完了する可能性があると報道されるなど、米中交渉の進展が期待できます。
明るさを増す業績見通し。日本株は堅調な推移が期待されよう
■日本株式市場は、米中交渉次第で調整する局面も想定されますが、総じて堅調な推移が期待できそうです。特に業績見通しの改善度合いを示すリビジョン・インデックスが大きく上昇している点が注目されます。2011年以降でリビジョン・インデックスが底打ちし、ゼロを上回る期間が1年程度に及ぶ局面は3回あります。底打ちからゼロを上回る局面で株価は堅調さを維持する傾向が確認されます。年末から2020年1月にかけてゼロを上回る可能性があります。日本株式市場は、明るさを増す業績見通しが支えになると考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『業績見通し改善、堅調な推移が期待される日本株式市場』を参照)。
(2019年12月5日)
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