2019~2020年の年末年始「ドル円相場」はどう動くのか?

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「市川レポート」を転載したものです。

 

●年末年始のドル円は円高リスクが懸念されるが、過去、12月と1月は円安に振れることが多かった。

●米中協議継続なら12月の制裁関税発動は延期へ、年内の合意に達しなくても円高は限定的か。

●部分合意と関税一部撤廃ならドル円は110円台で値固め後、徐々に112円台を目指す展開へ。

年末年始のドル円は円高リスクが懸念されるが、過去、12月と1月は円安に振れることが多かった

ドル円相場は、貿易問題を巡る米中の対立が激化した5月以降、ドル安・円高の動きが強まり、8月26日の取引時間中に、一時1ドル=104円46銭水準に達しました。その後は、米中貿易協議の進展期待から、緩やかにドル高・円安方向へ転じ、足元では109円台を回復しています。ただ、このところ、200日移動平均線がドルの上値をおさえており、ドル円はやや膠着感が強まっています(図表1)。

 

この先、年末年始を迎え、市場参加者は徐々に少なくなっていきます。閑散相場は、予期せぬ悪いニュースに、より強く反応する傾向があることから、一般に12月や1月は、ドル安・円高に振れるリスクが大きいという印象があるように思われます。しかしながら、過去のドル円の動きを検証してみると、12月と1月はドル高・円安となる確率の方が、やや大きいということが分かります(図表2)。

米中協議継続なら12月の制裁関税発動は延期へ、年内の合意に達しなくても円高は限定的か

そのため、年末年始のドル円相場を見通す上では、閑散相場のドル安・円高リスクというイメージに、あまりとらわれる必要はないと考えます。そこで、改めて目先の材料を整理してみます。まず、米中貿易協議について、中国商務省は11月26日、米国と閣僚級の電話会談を行ったことを明らかにし、問題の解決に向けて、両国が共通の認識に達したと表明しました。

 

トランプ米大統領も同日、協議は順調に進み、交渉は最後の難所にあると述べていますが、この最後の難所は、恐らく、既存の制裁関税の扱いを指していると推測されます。そのため、協議が続く限り、12月15日に発動予定の対中制裁関税第4弾(1,600億ドル分)は延期される公算が大きく、合意が来年にずれ込んだとしても、ドル安・円高方向の反応は限定的とみています。

部分合意と関税一部撤廃ならドル円は110円台で値固め後、徐々に112円台を目指す展開へ

次に、金融政策については、米連邦準備制度理事会(FRB)、日銀とも、現状の政策金利水準を当面維持すると予想しており、金融政策に関するドル円の動意は乏しいと思われます。また、フェデラルファンド(FF)金利先物市場では、依然として来年1回程度の米利下げを織り込んでおり、米10年国債利回りも1%台後半での推移が続いていることから、ドル円の110円台回復には時間を要するとみられます。

 

年末年始にかけて、米中協議が部分的な合意に達し、既存の制裁関税が一部撤廃される流れとなれば、FF金利先物市場での米利下げ観測が大きく後退し、米10年国債利回りは2%台を回復、ドル円は110円台での値固め後、徐々に年初来のドル高・円安水準である112円台を目指す展開が予想されます。一方、米中貿易協議が決裂すれば、ドル安・円高のリスクは増大しますが、協議の難航・長期化はある程度、織り込み済みのため、104円台まで戻る可能性は低いと考えます。

 

(注)データは2019年10月1日から11月26日。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表1]ドル円の200日移動平均線 (注)データは2019年10月1日から11月26日。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

(注)ドル円レートの方向性は、当該月末と前月末のレートを比較したもの。ドル円は1973年2 月に変動相場制へ移行したため、計算期間は1973年12月からとしている。 (出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成
[図表2]12月と1月のドル円相場 (注)ドル円レートの方向性は、当該月末と前月末のレートを比較したもの。ドル円は1973年2
月に変動相場制へ移行したため、計算期間は1973年12月からとしている。
(出所)Bloomberg L.P.のデータを基に三井住友DSアセットマネジメント作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019~2020年の年末年始「ドル円相場」はどう動くのか?』を参照)。

 

(2019年11月27日)

 

 

市川雅浩

三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト


株式会社三井住友DSアセットマネジメント シニアストラテジスト

旧東京銀行(現、三菱UFJ銀行)で為替トレーディング業務、市場調査業務に従事した後、米系銀行で個人投資家向けに株式・債券・為替などの市場動向とグローバル経済の調査・情報発信を担当。
現在は、日米欧や新興国などの経済および金融市場の分析に携わり情報発信を行う。
著書に「為替相場の分析手法」(東洋経済新報社、2012/09)など。
CFA協会認定証券アナリスト、国際公認投資アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員。

著者紹介


調査部は、総勢25名のプロフェッショナルを擁し、経済や金融市場について運用会社ならではの高度な分析を行い、それぞれの見通しを策定、社内外に情報発信しています。三井住友DSアセットマネジメントの経済・金融市場分析面での中枢を担っている他、幅広い投資家に良質な情報を伝えるべく、活動する機会や媒体は多岐にわたります。年間で約1,000本の市場レポートを作成し、会社のホームページで公開中(2018年度実績)。

著者紹介

連載【市川雅浩・シニア ストラテジスト】マーケットレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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