日本株式市場は底堅く推移
米中通商協議への期待継続
■21日の日本株式市場は、米国で香港人権・民主主義法案が可決されたことで、米中通商協議に悪影響が及ぶのではとの懸念から、下落しました。しかし、22日は、米中通商協議が継続される見通しにあることが確認され、また、米国株式市場の下落が小幅にとどまったことなどから、再び底堅い動きとなっています。
けん引役は「電気機器」
業績改善期待が支え
■年初から11月21日までの株価上昇率は、TOPIX(東証株価指数)が+13%ですが、21日現在の時価総額ウエイトで14%を占める「電気機器」が+27%、同9%のウエイトの「情報・通信業」も+23%と大きく上昇しています。また、同2%のウエイトの「精密機器」は同+41%の上昇を記録しています。
■特に「電気機器」は、リビジョン・インデックスから確認されるように、12カ月先予想でみる利益成長見通しが上方修正される傾向が強まるなど、業績の改善期待が株価を支えていると考えられます。「精密機器」も半導体サイクルが改善し始めた9月以降、リビジョン・インデックスが上向き始めています。
世界経済の回復期待の強まりが株価を支えよう
■引き続き米中通商協議の行方が注目点です。第1フェーズの合意が遅れる可能性が指摘される中、市場はいずれ妥結すると楽観的に見ている分、変動性が高まることも考えられます。ただ、こうした中でも、世界経済の回復期待は強まっており、減少傾向にあったIT関連の受注・生産の落ち込みペースが緩やかになるなど、徐々に景気回復に向けた動きが見られます。
■ただ、日本株式市場は企業業績の底打ちや米中の対立を巡る過度な懸念の後退を一旦織り込んでおり、次第に上値は重くなる可能性があります。もう一段の株価上昇には、世界経済と業績の回復に対する確信度の高まりが必要と考えられます。例えば、今底値圏にある「輸送用機器」のリビジョン・インデックスが上向き始めれば、1つのシグナルになるかもしれません。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『世界経済の回復期待が支える日本株式市場』を参照)。
(2019年11月22日)
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