雇用者数は予想を上回る伸び
過去分も上方修正
■2019年10月の米非農業部門雇用者数は前月比12.8万人増となりました。自動車関連のストライキの影響で前月(18万人増)から減速したものの、ブルームバーグ集計による市場予想(8.5万人増)を上回る伸びとなりました。また、過去分も8、9月分にそれぞれ5.1万人増、4.4万人増の大きな上方修正が入りました。
■これにより、3カ月移動平均は17.6万人、6カ月平均では15.6万人となり、雇用情勢の底堅さを示す結果となりました。
賃金は伸びが上昇
失業率は約50年ぶり低水準を維持
■10月の賃金は前年同月比3.0%増となりました。前月比は0.2%増と、市場予想をやや下回りましたが、横ばいだった前月からは伸びが高まりました。
■失業率は3.6%となりました。前月から0.1%悪化しましたが、就業者数の増加以上に労働者人口が増加したことによるものであり、失業率は約50年ぶりとなる低水準を維持しています。
生産調整は一巡し、景気循環はボトムアウトの可能性
■堅調な雇用統計を受けて米景気の減速懸念が和らいだことから、1日の米国市場では株価が上昇し、ナスダック総合指数とS&P500種指数は過去最高値を更新しました。長期金利は低下(価格は上昇)しました。
■なお、同日に発表された全米供給管理協会(ISM)製造業景況感指数は48.3と、前月の47.8から、わずかながら上昇に転じました。米国の複数の製造業景況感が悪化の一途を辿る動きからまちまちへ転じてきたことや、米中貿易協議が進展していること、在庫調整が進んでいることに加えて雇用統計で内需の底堅さが確認できたことから見て、生産調整はそろそろ一巡し景気循環がボトムアウトする可能性が高まっているとみられます。これは業績改善を通じて株式市場の追い風になると考えられます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米雇用統計、予想を上回る伸び…雇用情勢の底堅さを示す結果へ』を参照)。
(2019年11月5日)
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