0.5%の利下げ
緩和局面が続く
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、10月30日の金融政策委員会で、政策金利を0.5%引き下げ、過去最低となる5.0%とすることを全会一致で決定しました。利下げは3会合連続となり、緩和局面が続いています。
政策金利は5.0%へ
インフレ率低下でもう一段の利下げ
■声明では、今後の金融政策の方向は経済活動やインフレ見通しなどの状況によるとしながら、足元のインフレ見通しが抑制されていることから、更に0.5%の追加利下げの余地があると述べており、経済動向次第で更なる利下げを行うことを示唆しました。弊社では、2019年年末の政策金利を4.5%と見込んでいます。
■ブラジルの9月のインフレ率(IPCA)は前年同月比+2.89%と、歴史的に低い水準が続いています。中銀がまとめたエコノミスト調査では、2020年末のインフレ率予想は+3.6%と、中銀の目標レンジの中央値(4.0%)を下回っています。
年金改革法案は成立へ
経済対策、構造改革に期待
■ブラジルの年金改革法案の審議は順調に進み、上院議会での2回目の採決を通過しました。大統領の署名をもって成立します。歳出削減規模は10年間で約8,000億レアルとなり、当初予定の1兆2,000億レアルから縮小されましたが十分な規模であり、中長期的なプラス材料と言えます。ゲデス経済相は様々な規制緩和や経済対策を進めており、金融緩和とともにブラジル経済を押し上げることが期待されています。
■ブラジルレアルは、年金改革法案の可決や景気回復期待を織り込みながら堅調に推移しています。米中貿易問題や各国政治動向などの不確実性の高まりを受けて外部環境に左右されやすい場面も予想されますが、相対的に高い金利が下支えになると見られます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『ブラジル中銀、政策金利0.5%引き下げ…過去最低の5.0%へ』を参照)。
(2019年10月31日)
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