ピクテ投信投資顧問株式会社が、日々のマーケット情報を分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

今回の中国PMIは、当局の政策もしくは政治動向を反映した点が見られました。例えば、米中貿易戦争という最大の政治問題を受け製造業PMIに向かい風が吹いています。また中国当局の的を絞った景気刺激策の恩恵を受ける小規模企業は回復を示しています。そのような中、非製造業PMIに減速の兆しも見られることはやや気がかりです。

中国10月の製造業PMI:市場予想を下回り、非製造業PMIも減速

中国国家統計局と中国物流購入連合会が2019年10月31日に発表した10月の(政府系)製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.3と、市場予想(49.8)、前月(49.8)を下回りました。10月の非製造業PMIは52.8と、市場予想(53.6)、前月(53.7)を下回りました(図表1参照)。

 

一方、政府系PMIに比べ小規模企業の動向を反映すると言われる財新伝媒の10月の製造業PMIは51.7と、市場予想(51.0)、前月(51.4)を上回りました。


 

月次、期間:2016年11月~2019年10月  出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国政府系、財新(製造業のみ)PMIの推移 月次、期間:2016年11月~2019年10月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

どこに注目すべきか:製造業PMI、非製造業、新規受注、四中全会

今回の中国PMIは、当局の政策もしくは政治動向を反映した点が見られました。例えば、米中貿易戦争という最大の政治問題を受け製造業PMIに向かい風が吹いています。また中国当局の的を絞った景気刺激策の恩恵を受ける小規模企業は回復を示しています。そのような中、非製造業PMIに減速の兆しも見られることはやや気がかりです。

 

 

10月の非製造PMI指数は52.8と、16年2月の52.7以来の低水準となりました。非製造業PMIには建設セクターなども含まれますが、サービスセクターが主に含まれます。

 

中国に限りませんが、米中貿易戦争の影響で設備投資への手控えなどを背景に製造業は減速傾向です。一方で、第3次産業のイメージである非製造業は比較的影響が少なく堅調と見られています。ただ、10月は非製造業PMIの減速感が強く、軟調な製造業に引き寄せられているようにも見受けられます。

 

中国の非製造業PMIの構成項目で、景況感拡大と悪化の分かれ目となる50を下回る主な構成指数を振り返ります(図表2参照)。先行きを示唆する新規受注は10月50を下回りました。消費と関連すると見られる雇用も軟調です。また、新規輸出も先月に比べ回復はしましたが、水準は低いままです。もっとも、中国PMIは10月の国慶節の関係で変動することが多く、判断にあたり注意は必要です。

 

出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国(政府系)非製造業PMIの主な構成指数の推移 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

中国は米中貿易戦争の悪影響を最も受けやすい国である一方、債務削減の必要性や、最近ではインフレ率上昇への懸念から大胆な金融政策や財政政策は打ち出しにくく、的を絞った政策が当面は中心となりそうです。

 

米中貿易戦争については第一段階と呼ばれる部分合意が進展している模様です。中国経済の最大の懸案ともいえる問題に改善の兆しもあるようです。

 

ただ、確認は必要ですが、今週開かれた共産党の重要会議である中央委員会第4回全体会議(4中全会)では、「集中統一指導」や「政治的安定」といったスローガンと共に、香港への厳しい統治が示唆されています。中国の譲れないことは譲れない姿勢に変化はない印象です。部分合意に向けた動きが続いてゆくことは必要であり、明るい材料で、当面の下支えも期待されるところです。しかし米中間の問題解決には今後も紆余曲折があるのかもしれません。

 

 

当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国10月の製造業PMI指数は減速、米中貿易戦争も向かい風に』を参照)。

 

 

(2019年11月1日)

 

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

カメハメハ倶楽部セミナー・イベント

 

【1/7開催】<令和7年度>
税制改正大綱を徹底解説
最新情報から見る資産運用への影響と対策

 

【1/8開催】オルカン、S&P500…
「新NISA」の最適な投資対象とは
金融資産1億円以上の方だからできる活用法

 

【1/9開催】2025年の幕開け、どうなる?日本株
長いデフレ環境を生き抜いたスパークスが考える
魅力的な企業への「長期集中投資」

 

【1/9開催】相続人の頭を悩ませ続ける
「共有名義不動産」の出口は“売却”だけじゃない!
問題点と最新の解決策を藤宮浩氏が特別解説

 

【1/12開催】相続税の
「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【見逃し配信special】

 

 

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録
会員向けセミナーの一覧