現状の金融緩和策を維持
フォワードガイダンスは変更
■日銀は10月31日、金融政策の現状維持を決定しました。短期の政策金利を▲0.1%、長期金利である10年物国債利回りをゼロ%程度とする金融調節を維持しました。また、長期国債の買入れ額や上場投資信託(ETF)やリートの買入れ方針も据え置きました。
■フォワードガイダンス(先行きの指針)については、20年春頃までとしてきた時間軸を削除し、「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれるおそれに注意が必要な間、現在の長短金利の水準またはそれを下回る水準で推移することを想定」に変更しました。
経済・物価動向を点検
成長率、物価見通しとも引き下げ
■日銀は同日、3カ月に一度の「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」を公表しました。景気については21年度までの期間を通じて、緩やかな拡大が続くとの認識を維持しました。ただし、成長率見通しは19年度0.6%、20年度0.7%、21年度1.0%とし、前回7月からそれぞれ引き下げました。
■また、消費者物価指数(除く生鮮食品)の上昇率見通しも19年度0.7%、20年度1.1%、21年度1.5%と、前回からそれぞれ引き下げました。
日銀は当面現状維持
■日銀は9月会合で示した経済・物価動向の点検を行い、成長率見通しと物価見通しを引き下げました。ただし、設備投資を中心に内需は底堅く、海外経済の下振れリスクも米中貿易交渉の「部分合意」でやや和らいだことに加え、市場が株高・円安基調にあることから、マイナス金利の深掘りを軸とする追加緩和策は温存すべきとの判断に至ったと考えられます。一方で、市場に緩和に前向きな姿勢を示すため、長短政策金利の水準について引き下げる可能性を盛り込むフォワードガイダンスの見直しを行ったとみられます。日銀は、円高や株安が加速しなければ、当面現状の大規模緩和を維持するとみています。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『日銀、現状の大規模緩和策維持を決定…10月31日』を参照)。
(2019年10月31日)
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