2019年9月、国税庁により「民間給与実態統計調査」の結果が発表されました。本調査によると、サラリーマンの平均年収は441万円とのことです。年金問題をはじめ、少子高齢化による働き手不足など、老後不安につながる問題が尽きないなか、この年収のなかから資産を形成していくしかありません。老後資金の形成手段としてあげられるのが、老後2000万円問題でも注目を集めた投資信託です。本記事では、独立系投資信託について見ていきます。

独自の理念などに基づき、組み入れ銘柄を選定

◆老後2000万円問題と独立系投資信託…長期分散積み立て投資でどうなる?

 

会社員の夫と専業主婦のモデル(これもだいぶ古いモデルですが)の場合、65歳からの生活費に、年金だけでは2000万円足らない可能性がある、という報告がありました。もっとも、本報告の本質は資産形成の重要性を訴えるものでしたが。

 

いわゆる「老後2000万円問題」ですね。

 

資産形成の手段として投資信託が注目を集めましたが、なかでも、独立系投資信託という存在があります。独自の理念などに基づき、組み入れ銘柄を選定し、運用するという投資信託です。

 

独自の理念などに基づき、組み入れ銘柄を選定する独立系投資信託
独自の理念などに基づき、組み入れ銘柄を選定する独立系投資信託

 

おそらく、独立系投資信託のどれもが、設定からの数値と比較すれば、基準価額(投資信託の値段)が大きく上昇しているかと思います。その理由は、設定時期(開始時期)がいずれも不景気だからです。

 

基本的に、不景気に始まった投資信託は、景気回復に伴って運用成績がよく見えます。しばしば誤解されますが、投資信託ではファンドマネージャーと呼ばれる運用者の腕はさほど関係ありません。効率的市場仮説に立てば、株価などの値動きはランダムウォークだと考えられるからです。

 

一例ですが、おサルさんがたまたま十回連続でじゃんけんに勝ったとしても、そのおサルさんが天才だと考える人はいないのではないでしょうか。

 

基本的に景気がよくなれば値上がりし、悪くなれば下がるだけです。そのため、不景気時にスタートした投資信託は、基本的に現在は好成績に見えます。

投資対象を分散すれば、値動きはいずれも似てくる?

◆独立系投資信託より、市場平均に連動するインデックス型投資信託が合理的では?

 

筆者個人の意見ですが、投資対象を分散すれば値動きはいずれも似てくるのだと考えています。

 

率直にいうと、独立系投資信託およびアクティブ型の投資信託は、理論上買う必要はありません。理論上は、長期的に見て、市場平均に連動するインデックス型投資信託が「マシ」になる、という考え方です。

 

市場が効率的な世界であるなら、こうなるだろうという考え方です。効率的市場仮説ですね。

 

◆老後2000万円問題はよい契機? カギはやっぱり「長期×分散×積み立て投資」

 

老後に2000万円が足らない可能性があることに気がついた人が今回いれば、それはその人にとってはよいことだったと思います。どのような理由であれ、資産形成は(損をしなければ)大事な問題でしょう。

 

合理的な投資はやっぱり「長期×分散×積み立て」だと思います。一般の方には特に、若い人にももちろんです。

 

iDeCoやつみたてNISAなどの税制優遇制度を上手に利用するのがよいと思います。

 

今後、数年以内に大きな金融危機が来るかもしれないので、そのときに慌てて高く買ったものを安く売ったり、せっかく積み立てた資産を安値で売ったりしないようにしたいところです。

 

本連載は、「金融教育研究所」掲載の記事を転載・再編集したものです。

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