9月の投資環境
9月の世界株式市場は、MSCI世界株価指数(現地通貨ベース)で上昇しました。
世界の株式市場は、米中の閣僚級通商協議の10月開催が合意されたことを受けリスク回避の動きが後退し、上旬から上昇基調となりました。中旬に欧州中央銀行(ECB)が予想どおり金融緩和策を実施したことも株式市場の上昇要因となりました。月後半には米連邦公開市場委員会(FOMC)で追加利下げが決定されたものの今後の政策金利予想の見方が分かれたことや、ユーロ圏およびドイツの購買担当者景気指数(PMI)の低下、米トランプ大統領弾劾に向けた動き、トランプ政権が米国に上場している中国株式の上場廃止を検討しているとの報道などを受けて下落したものの、月間では上昇となりました。
業種別では、金融、エネルギー、素材、公益などが市場平均を上回って上昇しました。一方、ヘルスケアは下落、コミュニケーション・サービス、情報技術は小幅な上昇にとどまりました。
こうした中、水関連企業(現地通貨ベース)の株価も上昇しました。3セグメント全てが上昇しましたが、装置製造エンジニアリングセクターがもっとも堅調でした。
上下水道セクターではぺノン・グループやベオリア・エンバイロメント等の上昇がパフォーマンスに貢献しました。ぺノン・グループは業績が堅調に推移する廃棄物処理事業について事業価値を最大にすべく分社化など戦略的な見直しの可能性が期待されています。同業界のM&A(合併・買収)事例での評価をみると現在の同社における評価よりも高くなっています。ベオリア・エンバイロメントは水道や廃棄物処理などコア事業の成長見通しが良好であることが評価され株価が上昇しました。一方、カントン・インベストメントは中国経済の鈍化が見込まれる中で不動産事業の不透明感から株価が下落しました。
装置製造エンジニアリングセクターでは、キャンテル・メディカルは利益率の悪化とコスト削減策の遅れなどから来年の業績見通しが予想を下回り株価が下落しました。
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今後の見通し
足元では、貿易問題や米国の金融政策、地政学的リスクなどマクロ経済見通しを不透明にする多くの要因があり、世界の経済成長に対してプラス、マイナスの両方に作用しています。不透明な環境は、世界全体の製造業景気指数が弱気な見通しを示すなどビジネス・センチメントに影響しています。グローバルでは2019年の企業業績は2018年より緩やかなぺースで成長すると予想されていますが、GDP成長率見通しは2018年並みとされています。
水関連インフラへの投資は必要不可欠であり、中長期的に見ると、世界的に事業展開を行う水関連銘柄のファンダメンタルズ(基礎的条件)は堅調であると考えます。温暖化の影響から世界的な気候変動によって引き起こされる干ばつや洪水の問題なども、水関連インフラへの投資を呼び起こしています。中長期的に水関連銘柄は引き続き魅力的な投資対象であると考えます。
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年9月の水関連株式市場』を参照)。
(2019年10月15日)
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