バイオ医薬品関連企業の株価動向
9月のナスダック・バイオテック指数(ドルベース、配当含まず)は下落しました。
9月のバイオ医薬品セクターは、株価が大きく変動する中、終盤、リスク回避の動きが特に強まり下落しました。世界の株式市場で、成長株(グロース株)から割安株(バリュー株)への資金移動(セクター・ローテーション)に拍車がかかったこと、米大統領選の民主党候補指名争いで、左派のエリザベス・ウォーレン上院議員が急速に支持を伸ばし、ヘルスケアセクターへの影響が懸念されたことがバイオ医薬品セクターが下落した要因と考えます。
株価が上昇した銘柄としては、シアトル・ジェネティクス(米国)が挙げられます。欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で、会議に先立ち公開された抄録で、複数の新薬候補(パイプライン)についての極めて良好な治験結果を発表したことが好感されました。
株価が下落した銘柄は、特にファンダメンタルズ(基礎的条件)の変化はありませんでしたが、市場動向が反映され、市場の変動に対する感応度をあらわすベータが高い銘柄などでした。
今後のバイオ医薬品市場見通し
現在、医薬品に関連する医療費の議論で重要な転換が起こっています。いくつかの国では治療の有効性に応じて医療費を支払う制度(価値に基づく医療)が利用されていますが、処方薬で最大のマーケットである米国においても、従来の出来高払い方式ではなく、同様の制度を求める声は、ますます大きくなっています。
医薬品企業と同様に政府、規制当局、保険業者は、医薬品の開発においてイノベーションを抑制することなく、医薬品の費用を効率的に管理することができる妥協案を見つけることを必要としています。最も重要な利害関係者である患者は、破産のリスクにさらされることなく、高品質の治療を受けたいと考えています。
これは、治療薬の開発といった科学的側面だけでなく、ビジネスモデルや先進的な思考、価値に基づいた契約といった側面においてもイノベーションを生む最高の機会となると考えます。
株式市場の先行きには不透明感がありますが、そのような間でも、長期志向で、市場の非効率性に注目するアクティブ運用者にとっては、数多くの投資機会が存在するものと考えます。
資産を「守る」「増やす」「次世代に引き継ぐ」
ために必要な「学び」をご提供 >>カメハメハ倶楽部
バイオ医薬品関連企業の売上高は相対的に高い伸びが見込まれる
バイオ医薬品関連企業の売上高は、新興国の企業を上回って堅調に成長してきました(図表5参照)。
バイオ医薬品関連企業については、①有望な治療薬候補の良好な治験結果の発表、②大型の新薬の承認、③新薬販売開始後の業績寄与の拡大などを背景に、米国企業や日本企業よりも相対的に高い売上高の伸びが見込まれています(図表6参照)。
売上高の伸びに沿って株価も上昇
過去の実績では、バイオ医薬品関連企業の株価は、売上高の伸びとともに上昇してきたことがわかります(図表7参照)。
バリュエーション
2011年以降、バイオ医薬品関連企業の株価が大きく上昇したことから、PSR(株価売上高倍率)で見たバリュエーション(投資価値評価)は高い水準にありましたが、足元では株価の調整を受け低下しています(図表8参照)。
※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内容が変更される場合があります。
記載のデータは、将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2019年9月のバイオ医薬品市場』を参照)。
(2019年10月11日)
カメハメハ倶楽部セミナー・イベント
【12/10開催】
相続税の「税務調査」の実態と対処方法
―税務調査を録音することはできるか?
【12/10開催】
不動産「売買」と何が決定的に違うのか?
相続・事業承継対策の新常識「不動産M&A」とは
【12/11開催】
家賃収入はどうなる?節目を迎える不動産投資
“金利上昇局面”におけるアパートローンに
ついて元メガバンカー×不動産鑑定士が徹底検討
【11/24開催】
<富裕層のファミリーガバナンス>
相続対策としての財産管理と遺言書作成
【11/28開催】
中国経済×米中対立×台湾有事は何処へ
―「投資先としての中国」を改めて考える