米国ボーディングスクール…合格には「かなりの英語力」が必要

近年、富裕層を中心に、子どもを幼少のうちに海外留学させたり、国内のインターナショナルスクールに通わせたりと、国際感覚を身に着けるための教育がひとつのトレンドになっている。本連載では、グローバルマーケットの第一線で活躍し、現在は留学サポート事業などを手がける株式会社ランプライターコンサルティングで代表取締役社長を務める篠原竜一氏が、グローバル人材を目指す富裕層の教育事情について、実体験も交えながら解説する。今回は、米国留学に必要な英語力について。

「高い英語力」が求められる、米ボーディングスクール

最近「どこかのタイミングで留学をさせたいとは思っている」という保護者が増えてきましたが、アメリカのボーディングスクールに留学するにはどの程度の英語力が必要なのでしょうか?

 

一般社団法人 CIEE国際教育交換協議会のホームページによると、以下の通り記述されています。

 

「一般的にアメリカの大学へ学部留学をしたい方はTOEFL iBT®テストスコア61点以上が必要と言われています」

 

「アメリカへの大学院留学を目標にしている方にとって、スコア80点は必要不可欠な点数です」

 

「アメリカにあるトップ校は、学部留学であれ、大学院留学であれ、総じて留学生に高い点数を求めてきます。例え大学のホームページに必要最低点の記載がない場合でも、合格者の平均点が100点を下回ることはほぼありません」

 

残念ながら、アメリカのボーディングスクールを受験する場合はどうなのかは書かれていませんが、ほとんどのボーディングスクールでは、その出願に際し、留学生に対してTOEFL iBT®のスコアの提出を求めています。高校生だからもう少し点数が低くても良いと考える方も多いのではないかと思いますが、実際には、逆にかなりの英語力を求められます。

 

日本で麻布、開成、武蔵というトップレベルの学校に入学するには、当然ながら日本語力が求められると思います。これと同様に、留学生とはいっても、アメリカのトップレベルのボーディングスクールに入学するためには、年齢相応の英語力が求められます。入学審査官たちに話を聞くと、10代の生徒たちに教えることは学業だけではない。人格形成を行ううえで英語でのコミュニケーション能力は極めて重要であるという答えが返ってきます。

 

日本では、東海岸のTen Schools Admission Organizationに加盟するボーディングスクールが特に有名で、Ten Schoolsで子供を学ばせたいと考える保護者は多いでしょう。名前の通り、この10校は入学審査に関し協力関係を築いています。

 

●フィリップス・アカデミー(1778年創設、マサチューセッツ州)

●フィリップス・エクセター・アカデミー(1781年創設、ニューハンプシャー州)

●ディアフィールド・アカデミー(1797年創設、マサチューセッツ州)

●ザ・ローレンスビル・スクール(1810年創設、ニュージャージー州)

●ザ・ヒル・スクール(1851年創設、ペンシルベニア州)

●セント・ポールズ・スクール(1856年創設、ニューハンプシャー州)

●ザ・ルーミス・チャフィー・スクール(1874年創設、コネチカット州)

●チョート・ローズマリー・ホール(1890年創設、コネチカット州)

●ザ・タフト・スクール(1890年創設、コネチカット州)

●ザ・ホチキス・スクール(1891年創設、コネチカット州)

 

また、日本では意外に知られていないのが、実際に授業、スポーツなどで生徒たちの交流が盛んに行われているボーディングスクールのIvy Leagueと言われるEight Schools Associationという組織です。Eight Schools Associationには、以下の学校が加盟しています。

 

●フィリップス・アカデミー・アンドーバー(1778年創設、マサチューセッツ州)

●フィリップス・エクセター・アカデミー(1781年創設、ニューハンプシャー州)

●ディアフィールド・アカデミー(1797年創設、マサチューセッツ州)

●ザ・ローレンスビル・スクール(1810年創設、ニュージャージー州)

●セント・ポールズ・スクール(1856年創設、ニューハンプシャー州)

●ノースフィールド・マウント・ハーモン・スクール(1879年創設、マサチューセッツ州)

●チョート・ローズマリー・ホール(1890年創設、コネチカット州)

●ザ・ホチキス・スクール(1891年創設、コネチカット州)

 

名門校ばかりです。これらのボーディングスクールは世界中の優秀な生徒たちが受験しますが、このようなトップレベルのボーディングスクールが留学生に求めるTOEFL iBT®のレベルは100点と言われています。

 

たとえば、チョート・ローズマリー・ホール校卒業生によって設立されたThe Murata US-Japan Scholars Program(村田日米奨学金)では、その応募にあたり、TOEFLの最低ラインは設定していません。誰でも応募できます。しかしながら、そのホームページでは、「合格者のほとんどはTOEFL iBT®で100点、もしくはそれ以上のレベル」と説明しています。

 

ボーディングスクール生の多くは、日本の中学3年生に相当する9th Gradeから始まり、4年間の高校生活を送るのが一般的です。日本からの留学生は、中学2年生の冬に9th Gradeを受験するか、中学3年生の冬に10th Gradeを受験することになります。その時点でトップレベルのボーディングスクールに合格する留学生のTOEFL iBT®のレベルは100点もしくは、それ以上ということです。

 

米国ボーディングスクールに通うには、米国大学留学以上の英語力が必要とされる!?
米国ボーディングスクールに通うには、米国大学留学以上の英語力が必要とされる!?

 

しかしながらこれはあくまでも目安だということを忘れてはいけません。100点未満でも合格している生徒はいるはずです。逆に、TOEFL iBT®が100点以上であれば必ずトップレベルのボーディングスクールに合格するということでもありません。あくまでも英語のレベルチェックです。

 

ボーディングスクールの入学審査では、学校の成績、先生からの推薦状、生徒のエッセイ、保護者のエッセイ、面接、SSAT、TOEFL iBT®を総合的に判断し、合否を決定します。

米国留学を検討するなら、早めに「英語学習」を開始

もちろん、アメリカには約300校のボーディングスクールがあり、ESLが充実している学校もたくさんあります。高校生活を通じて英語力を高め、英語で様々な科目に取組むことにより、大学学部受験時にはTOEFL100点レベルの英語力を身につける留学生が多く、英語力だけでボーディングスクールへの進学をあきらめる必要はまったくありません。チャレンジしようとする人に、チャンスを与えてくれるのがアメリカの良いところです。

 

ボーディングスクール受験の準備自体は、進学予定の1年半前位から始める必要がありますが、英語の準備はもっと早く始める必要があります。

 

最近では日本でも子供が3ヵ月のときから始める親子プログラムを提供している英語のプリスクールもあります。子供が17ヵ月位からは選択肢が増えます。さすがにこの年齢の子供が自分で「英語を学びたい」「英語で学ぶ学校に行きたい」とは主張しないので、このようなプログラムに参加するかどうかは保護者次第になります。

 

小さいころから英語に触れ、遊びを通じて学ぶことができれば、子供にとって英語の習得は苦にならないはずです。そして「どこかのタイミングで留学をさせたいとは思っている」という考えが保護者にあるのであれば、今すぐ検討を開始すべきです。そして英語の勉強を少しでも早く始めることが志望校の選択肢を広げることにつながります。少なくとも早く検討を始めて無駄になることはありません。

 

 

株式会社ランプライターコンサルティング 代表取締役社長

1988年に日本興業銀行に入行。東京、ロンドン、ニューヨークにてグローバルマーケットビジネスに従事。ニューヨーク支店はワールドトレードセンターの50階にあり、2001年米国同時多発テロでは被災した。この時の壮絶な経験から多様性を学ぶ重要性を痛感し、05年にバンクオブアメリカ証券会社に転職。マネージング・ディレクターとして外国債券のセールス&トレーディングを統括。07年に取締役に就任、副社長として金利・債券ビジネス拡大に注力。バンクオブアメリカメリルリンチを経て、14年にクレディ・アグリコル証券に入社、債券営業統括部長に就任し、機関投資家向けビジネス拡大に尽力。18年末に退職、19年2月、株式会社ランプライターコンサルティングを設立。インターナショナルスクール進学、アメリカ留学サポート事業に加え、世界を舞台に活躍する人材育成事業を展開している。

著者紹介

連載世界を舞台にしたグローバル人材を育てる…富裕層によるエリート教育

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