活用を検討したい新たな相続対策として、「家族信託」の活用があります。今回は、「家族信託」の仕組みと、具体的な活用例を見ていきましょう。

家族信託の活用は遺言書と同等の効果をもたらす!?

まだ一般化しているとはいえませんが、今後、ぜひ活用を検討してほしい新しい相続対策として「家族信託」があります。この「家族信託」を使った相続対策は、結果として遺言書と同等の効果をもたらすといわれていますが、さらに、それにプラスした効果を期待できます。

 

まずは、信託そのものの基本的な仕組みから説明しておきましょう。信託は、契約等に基づいて、特定の者が、一定の目的にしたがって、財産を有する者から所有権を移転された財産の管理・処分等の必要な行為を長期的に行うことです。

 

このような信託の対象となる財産を信託財産、信託財産の所有権を移転した者を委託者、信託財産の移転を受けた者を受託者、信託の仕組みによって利益を受ける者を受益者といいます(下記図表参照)。

 

 

「家族信託」とは、このような信託のスキームを家族間の財産管理や相続等に用いるものです。

家族信託なら、家族が病気になった場合にも対応できる

具体的な活用例としては、まず、被相続人が認知症等になった場合に相続対策をスムーズに行うため、被相続人の不動産等を信託する利用法が考えられます。

 

たとえば、父親が、自己の収益不動産を長男に信託します。その結果、父親は委託者であると同時に、賃料を受け取る受益者となります。一方、長男は受託者となるわけです。

 

このような仕組みを作っておけば、仮に父親が認知症となり成年後見を申し立てられたとしても、長男がすでに不動産の管理処分権を持っているので、不動産の有効活用等を図れなくなるおそれはありません。

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    本連載は、2013年12月2日刊行の書籍『地主のための相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    地主のための相続対策

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    土田 士朗

    幻冬舎メディアコンサルティング

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