長期的な視点で資産形成が行えると、サラリーマンにも興味・関心が高まっている不動産投資。しかし難しそうなイメージが先行し、二の足を踏み人が多いのも事実です。本連載ではWEBサイト「みんかぶ不動産」のプロデューサーとして活躍する八木チエ氏が、これから不動産投資を始めようとする初心者が抱きがちな疑問や不安について解説していきます。

収入不安定、平均寿命…だから女性は不動産投資向き

「投資」と聞くと、女性より男性のほうが行っているイメージがあるでしょう。しかし、これからの時代は女性こそ投資すべきであり、特に不動産投資は女性に向いているといわれています。

 

そういえる理由の1つが「女性は男性と比較してライフスタイルの変更が大きい」からです。

 

現在では「女性を管理職に」などのスローガンもあり、女性がどんどん会社で重責を担うことはあります。しかし、それでも独立行政法人である労働政策研究・研修機構によると、専業主婦の世帯は673万世帯にのぼるので、専業主婦はまだまだ多いといえるでしょう。

 

さらに、内閣府の調査では、55歳~59歳の非正規社員率は、男性で12.8%、女性で60.2%とわかりました。つまり、まだまだ長く正社員として働いているのは男性であり、家庭内では夫の影響が大きいということです。

 

たとえば、夫の転勤で引っ越すことになり、女性(妻)は非正規で働いている会社を辞めなくてはいけない、ということはあり得る話でしょう。

 

言い換えると、妻主導で仕事を決めるのは難しいこともあり、たとえば「エリア限定社員」や「契約社員」などの雇用形態になりやすいということです。そうなると、収入も夫より少なくなりがちなので、不動産投資という安定収入をつくることが重要になってくるのです。

 

またひと昔前とは時代が違うので、以前よりは男性でも育休を取りやすく、女性も産休・育休明けに仕事が復帰しやすくなりました。とはいえ、内閣府の調査によると2018年時点でも男性の育休取得率は5.14%であり、10年までの1.56%よりは上昇しているものの、まだまだ低水準といえるでしょう。

 

子育ては基本的に妻がメインで行うという意識は根強く、さらに出産前後は身体的に働くことは難しくなります。そのため、長い期間企業に勤め昇給していくというのが妻は夫よりもしにくく、自分で資産形成する必要が出てきます。

 

だからこそ、自分のタイミングで対応ができ、管理にほとんど手間がかからない、比較的安定した投資である不動産投資が適しているというわけです。

 

また「働けない期間も安定した収入が見込める」という点も、女性に不動産投資をおすすめできる理由です。産休・育休の期間、現状は夫が育休を取得して一緒に子育てというのは簡単ではないでしょう。だからこそ、働けない期間は安定した家賃収入が得られる不動産投資がおすすめなのです。

 

不動産投資には「入居者の募集」「家賃の徴収や滞納時の対応」「共用部の掃除や修繕(一棟投資時)」「退去時の立ち合いや修繕作業」といった業務があります。

 

しかし、これらの業務は基本的に管理会社に委託するので、投資家が物件運営中にやることは非常に少ないです。たとえば、賃貸借契約を結ぶかどうかの最終判断や、補修する際の最終判断など、いわゆる「決裁」することくらいです。

 

不動産投資なら手間がかからないので、産休・育休で忙しい時でも安心です。

 

ただし、物件取得時は物件を見学したり、収支シミュレーションをつくったりと時間がかかります。そのため、できるだけ早いうちに不動産投資をはじめ、働けない期間までに軌道に乗せておくのが利用です。

 

また不動産投資の基本的な収益は、賃借人からもらう「家賃収入」です。不動産を売買することで利益を得ることもありますが、不動産売買には諸費用と税金がかかるので、基本的にメインは家賃収入になります。

 

そして、この家賃収入は投資のなかでは比較的安定している収益源です。たとえば、短中期の株式投資であれば株価が収益の鍵を握りますが、その株価は変動が激しく、1年後に半値になるということもあり得ます。しかし、家賃が1年後に半値になるという可能性は極めて低いので、不動産投資は大きく赤字になるリスクが小さいのです。一方で、1年で資産が倍になるということも不動産投資では考えにくいです。

 

ただ、安定性が高くストレスが少ないというのは、「働けない期間も安定した収入を見込める」という意味では適している投資といえます。

 

「長生きだから」というのも、女性だからこそ不動産投資すべき理由です。厚生労働省の資料によると、男性の平均寿命は81.09歳で女性は 87.26歳と、女性の方が男性よりも6歳以上長生きします。さらに、昭和22年まで遡っても、男性が女性の平均寿命が上回ったことは一度もありません。

 

そのため、基本的には女性の方が男性より長生きと考え、老後の対策は男性以上にしておくべきなのです。そして、老後は手間のかかる投資は面倒なので、手間がかからない不動産投資が向いているといえるでしょう。

 

「男女間で賃金格差がある」というのも、理由に挙げられます。内閣府の資料によると、男性の平均賃金水準を100としたとき、女性の平均賃金水準は71.3です。つまり、女性は男性がもらっている賃金よりも30%ほど低い賃金になっています。その理由は「平均勤続年数」「管理職比率」が関係しています。

 

やはり仕事面は夫(男性)の方が有利な世の中なので、平均勤続年数や管理職比率に差はできてしまいます。今後は少しずつ格差がなくなるようにと政府も動いていますが、そう簡単には縮まらないでしょう。

 

そのため、女性は男性以上に「自分で稼ぐ力」を身に付けないといけません。だからこそ、男性ではなく女性こそ、不動産投資をして安定的に不労所得をつくることが重要なのです。

 

女性のほうが長生きする傾向にあるから、老後資金を考えないといけない
女性のほうが長生きする傾向にあるから、老後資金を考えないといけない

なぜ、不動産投資をする女性が増えているのか?

勤務環境や賃金格差のほか、寿命も鑑みると、女性のほうが不動産投資をすべきであり、実際に不動産投資をする女性が増えているのが現状です。

 

理由の1つが晩婚化です。内閣府の資料によると、女性の平均初婚年齢は「1985年25.5歳」→「1995年:26.3歳」→「2005年:28歳」→「2015年:29.4歳」と推移しています。

 

このように、ここ30年でみると約4歳、ここ10年でも1.4歳晩婚化が進んでいます。数十年前は、「寿退社して専業主婦になる」というのが当たり前の時代から、女性も自立しきちんと収入を得なければいけない時代になってきています。だからこそ、不動産投資をして、将来に向けて自分の資産は自分でつくるという女性が増えてきているのです。

 

また、男性よりも女性の方がきちんとプランニングを立てていて、計画的です。そして、不動産投資は家賃収入がある一方で、以下のような支出があるので計画性が重要な投資といえます。

 

・ローン返済額

・固定資産税・都市計画税

・退去時の原状回復費用

・管理委託手数料

・火災保険料や地震保険料

・管理費・修繕積立金(区分所有)

・共用部の修繕費用(一棟投資)

・税理士への報酬(確定申告を依頼する場合)

・その他経費(物件運営のための交通費など)

 

つまり、収入と支出に関しては将来を見越した上でシミュレーションする必要があり、それはプランニングをきちんと立てられる女性の方が向いているのです。だからこそ、不動産投資に魅力を感じている女性が多いのでしょう。

投資物件も「女性目線」で選ぶといい

物件選びの際、「女性」を意識すると優良物件が見つけやすくなります。

 

まず、女性のほうがキッチン・トイレ・洗面・浴室などの「水まわり設備や、建具・収納などの細かい仕様を見極めやすい」です。というのも、男性よりも女性の方がキッチンにこだわりを持つ人が多いですし、水まわりの衛生面を気にする人が多いからです。女性の方が化粧をしたりドライヤーの時間が長かったりするので、実際に洗面台に立つ時間は長いでしょう。

 

事実、分譲マンションの洗面台やキッチンなどは女性の身長をベースにつくられており、このことからも水まわりは女性の目線が重要であることがわかります。その目線から、物件の水まわり設備や仕様をチェックすることで、賃借人に受け入れやすい物件かどうかの見極めができるというわけです。

 

また「物件周辺も女性目線で見ること」で優位になります。たとえば、「駅から物件までを夜、歩いて怖くないか?」「坂道などがあれば自転車で厳しくないか?」「物件に入るときのエントランスに死角があるなど怖い部分はないか?」と女性目線で周辺環境をチェックすると、女性ニーズにリーチできる物件にたどり着くことができます。

 

もちろん、男性目線でも周辺環境はチェックできますが、女性の方がより「怖さ」や「厳しさ」を体感できるでしょう。その点は、物件の良し悪しを判断する基準になるため、結果的に優良物件の見極めにつながるのです。

 

 ◆まとめ 

これまでは資産形成は男性が行うもの、という意識が強くありましたが、これからは女性でも自分で資産を作る時代であるといえます。

 

とはいえ、社会や職場環境は、まだまだ女性が活躍するには不十分なので、手間のかからない不動産投資は適しているといえるでしょう。また女性ならでの視点は、物件選びの際も優位に働きます。

 

このような点を加味して、資産形成の方法を考えてみてはいかがでしょうか。

 

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本連載は、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが運営するウェブサイト「みんかぶ不動産」の記事を転載・再編集したものです。今回の転載記事はこちら

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