前回に引き続き、住んでいた町の「地価」が高騰したことによる、相続税の問題を取り上げます。今回は、「小規模宅地等の特例」を活用した相続税の減額方法について見ていきましょう。

1億円にのぼる土地の相続税評価額が半分以下に!?

相続税について関心をお持ちの方なら、「小規模宅地等の特例」という言葉をどこかで耳にしたことがあると思います。

 

それほどこの特例がポピュラーなのは、利用できる条件が整えば、この特例による節税効果が非常に大きいためです。相続財産の評価が大幅に下がり、相続税の負担が軽減されます。まさに不動産相続税対策の切り札といえる特例です。

 

1億円にのぼるCさんの自宅土地の相続税評価額も、小規模宅地等の特例を適用すると、約4720万円に抑えられます。実に5280万円も減額することができるのです(平成27年1月1日以降に相続が開始される場合)。その結果、軽減される相続税は2110万円にもなります。

 

この特例の対象になる土地は次の3種類です。

 

①被相続人の住宅の敷地

②被相続人が事業をしている建物の敷地

③被相続人が賃貸事業を営む建物の敷地

「小規模宅地等の特例」の対象となるための条件とは?

それぞれについて特例の内容が違い、細かい適用条件がありますので、一部ご紹介してみましょう。

 

①被相続人の住宅の敷地

 

特例が適用されるのは、次に挙げる条件を満たす相続人です。

 

●被相続人の配偶者

●被相続人と同居している親族。ただし相続後は、相続税の申告期限までその家に住み、所有していなければなりません。

●配偶者や同居の親族がいないときは、相続開始以前3年間にわたって、自身の持ち家や配偶者の持ち家に住んだことがない親族に、この特例が適用されます。別居する子どもなどが賃貸住宅や社宅に住んでいる場合などです。また、相続した不動産を申告期限まで所有していなければなりません。

 

【概要】

 

●被相続人が住宅として使用していた土地は課税対象額が80%減額されます。

●被相続人の配偶者、被相続人と同居していた親族が相続した場合、240㎡までの土地については(平成27年1月1日以後の相続は330㎡まで)は80%の減額となります。

●1棟の中に賃貸マンションとして貸し出している部分と居住用の部分がある併用住宅では、土地をそれぞれの割合で按分して、「居住用」とされる部分には、80%の減額が適用されます(240㎡まで)。賃貸部分については、50%減額となります(200㎡まで)。

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    本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『家族と会社を守る「不動産」「自社株」の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    貝原 富美子・澤田 美智

    幻冬舎メディアコンサルティング

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