流入超過額は956億ドルと引き続き高水準
■9月の投信マネーは全体で+956億ドル(前月+1,254億ドル)と引き続き高水準の流入超でした。「MMF」は+546億ドル(同+1,313億ドル)と流入超過額が大幅に縮小し、「債券」も+326億ドル(同+470億ドル)と縮小しました。一方、「株式」は+32億ドル(同▲517億ドル)と流入超となりました。
株式ファンドは9月半ばまで「米国」が大幅流入超
■9月は中旬にかけて大きな変化がありました。株式ファンドは9月4日~17日の合計で336億ドルの流入超でした。「MMF」は同▲100億ドル、「債券」は同+120億ドルで、「株式」へ回帰する動きが鮮明となりました。中心は「米国」で同+380億ドルでした。一方、「アジア(日本を含む)」、「欧州」、「新興国」は流出超でした。これは、米中閣僚級協議の再開が発表されたこと、マクロ指標が堅調であったこと、トランプ大統領が中国との暫定的な貿易合意を検討すると発表されたことなど、米国景気の先行きに対する安心感が広がったことが背景です。しかし、9月下旬にかけては、トランプ大統領の弾劾を巡る動きや米中対立が再び激化するのではとの懸念などから再び流出超に転じました。
米国景気が明るさを増し、米中協議の進展期待が膨らめば、株式へ回帰する可能性はある
■債券ファンドは、「先進国」が+304億ドル(同+515億ドル)と9カ月連続の流入超です。中心は「北米」で+223億ドル(同+347億ドル)です。「新興国」も+23億ドル(同▲45億ドル)の流入超でした。中心は「GEM」で+19億ドル(同▲38億ドル)です。9月半ばまで米長期金利が上昇する中、「北米」の流入超過額は減少しましたが、下旬にかけて長期金利が低下する中、再び流入超過額が増加しました。
■今後は、引き続き「MMF」と「北米」債券ファンドを中心に資金流入が継続すると思われます。ただ、9月中旬のように、米国景気の明るさが確認されたり、米中貿易協議の進展期待が膨らめば、株式へ回帰する可能性があることがわかりました。10月の米中閣僚級協議、米金融政策が引き続き注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『投信マネー、「MMF」「北米」債券ファンドへ資金流入継続か』を参照)。
(2019年10月2日)
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