前回に引き続き、「借地権付きの貸地」の相続問題について見ていきます。今回は、その相続に向けた具体的な対策方法について説明します。

契約の見直しや買い取り、返還交渉を実施

貸地の問題は解決がとても難しいため、悩みを抱えながらも、「放置するしかない」とあきらめている地主さんも多く見受けられます。しかしながらこの問題を放置していては、巨額の課税負担を子孫にまで残してしまうことになります。困難でも専門家の協力も得ながら、解決に向け根気よく対策を立て実行していきましょう。

 

借地人との交渉にあたっては、状況に合わせて次の5つの方策を組み合わせて適用することになりますので、参考にしてみてください。

 

①一団のまとまった区画、または全部の土地(底地)をまとめて売却する。

 

底地を扱う業者に相談することになるが、一般的には更地に比べ売却価格がかなり低くなる。「所有していることによって生じる多額の相続税負担が解消するため」と割り切って判断することが必要。効果を判断するためには、実質の手残り額と相続税負担額を具体的に算出してみる。

 

②底地を借地人に買い取ってもらう。

 

ただし、Bさんのようなケースでは、買ってくれる人と買ってくれない人がいると、土地を歯抜け状態で所有することになる。将来的な活用方法を見越した上で、実行する必要がある。

 

③移転する借地人がいるときは、そのたびごとに借地権を買い取る。

 

この場合も、②と同じく、借地権の設定されている土地とされていない土地をバラバラに所有することになるため、将来的な展望が不可欠。

 

④地主が借地人に直接交渉してみる。

 

借地人に経済的な余裕があり、地主との関係が良好なら、ひとつの選択肢として考えてみる価値がある。

 

⑤物納を検討してみる。

 

「貸地は相続税の納税にはあてられない」というのが税の実務上の取扱。ただし状況によっては可能な場合があるので、早めに専門家に相談しておく。

 

借地権付貸地の問題を解決するには多くの場合、5~10年といった長い年月が必要です。地主の方の健康状態などに不安が出てきてからでは、対策が難しくなります。Bさんのような土地を抱えている方は、放置せず、一日も早く解決に向けて動き始めてください。

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    本連載は、2014年3月20日刊行の書籍『家族と会社を守る「不動産」「自社株」の相続対策』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

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    貝原 富美子・澤田 美智

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