現状の金融政策を維持
市場の予想通り
■日銀は19日、金融政策の現状維持を決定しました。短期の政策金利を▲0.1%、長期金利である10年物国債利回りをゼロ%程度とする金融調節を維持しました。また、長期国債を買い増すペースを年間で約80兆円を目途とすることや、上場投資信託(ETF)やリートの買入れ方針も据え置きました。フォワードガイダンス(先行きの指針)も継続しました。
■日銀の金融政策維持は市場の予想通りでした。
円安・株高が追い風
日銀は副作用に目配り
■日銀が金融政策の現状維持を決めた背景には、足元で円安・株高の追い風が吹いていることがあります。対米ドルで一時104円台に上昇した円相場は、108円付近に下落していることに加え、日経平均株価が年初来高値圏にあるなど、追加緩和が要求される環境ではありません(19日14時時点)。
■また、異次元緩和を続けてきた日銀は、緩和の長期化に伴う銀行の収益圧迫や機関投資家の運用難などの副作用への目配りが必要なため、追加緩和は出来るだけ温存したいのが本音と考えられます。
次回会合で経済・物価動向を再点検
■日銀は声明文に、「物価安定の目標に向けたモメンタムが損なわれる恐れについて、より注意が必要な情勢になりつつある」との文言を加えました。さらに、「展望リポート」を公表する次回10月の会合で経済・物価動向を改めて点検していく考えを示しました。
■欧州中央銀行(ECB)は12日に小幅な利下げと量的緩和の再開を決定しており、米連邦準備制度理事会(FRB)も18日に追加利下げを実施しました。世界的に中央銀行が金融緩和に舵を切るなかで、次回会合での日銀の判断が注目されます。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『次回会合で経済・物価動向を再点検』を参照)。
(2019年9月19日)
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