※本記事は、2019年8月16日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。

 

インターネットの発達で、多くのことが自分で調べて解決できるようになりました。税金に関する疑問についても同様です。しかし、その情報は信じてよいのでしょうか。

 

税理士である筆者も、お客様からの質問があった場合、まずは自分の頭の中で回答を導き出しますが、内容によってはインターネットで検索して回答を探す、ということもあります。

税理士以外が書いた記事・情報は誤りが多いのが現実

重要なのはインターネットで検索して出てくる情報の信頼性です。

 

税金に関する記事や情報は、税理士以外にもファイナンシャル・プランナーやライターが書いています。

 

記事の中には、正しい内容が書かれていることもありますが、税理士の筆者が吟味する限り、誤った内容が発信されていることが多いです。

 

なかには、全くの専門外の方が、「体験談」として自身の確定申告について書かれていることもあります。

 

例えば「◯◯を経費として確定申告したけど、受理してくれました!大丈夫でした!!」といった感じの内容です。

 

勘違いされている方が多いのですが、税務署が確定申告書を「受理した」ことと、「内容に問題ないことを確認した」ことは、全く異なります。

 

確定申告書を提出し、受理されても、その内容の正当性までは税務署は確認を取っていないのです。内容は後日吟味して、税務調査の場などにおいてその正当性を税務署が判断することになるのです。

 

また、確定申告の内容が誤っていたとしても、何千万件と出される確定申告書を税務署が全部目を通しているわけではありません。中には誤りを見過ごされているケースも数多くあるでしょう。

 

でもそれは、確定申告の内容が正しいと認められたのではなく、税務署に気づかれていないだけです。

 

それを「税務署がOKしてくれた!!」などと勘違いしてブログなどに載せているケースがとても多いので、十分気を付けてください。

税務署だって間違える!

最近は税務署も親切になり、納税者が質問・問い合わせをすると丁寧に答えてくれるようです。ところが、税務署の職員であっても間違った回答をしてしまうことは多々あります。

 

もちろん、誰に聞いても分かるような、基本的・基礎的な内容であれば問題なく答えてくれるでしょう。しかし、判断に迷うような質問だったり、法律にはっきりと明記されていないような内容だったり、はたまた納税者側がしっかりと前提条件を伝えずに質問したりすると、答える側も正しい回答を導けなくなる可能性が高まります。

 

残念なことに、「税務署の人が言ったから必ず正しい」とはならないのが税金の世界なのです。

結論:税金に関する疑問・質問があったらどうするか?

さらには、内容によっては税理士であっても異なる見解となるケースが多々あります。

 

先日、行政書士である友人から、税務に関する質問を受けました。それに対して私も回答しましたが、私を含めて4人の税理士に聞いたうち、私ともう1人が同じ回答、そして残りの2人は異なる回答だったと言われました。

 

質問の内容によっては「税理士であっても回答が割れることがある」この事実をまずは理解しておいてください。これらの点を踏まえて、税理士である筆者としての結論は以下のとおりです。

 

●税理士以外が書いたインターネット上の税金に関する情報は鵜呑みにしない

●インターネット上に載っている税理士の回答・見解をできるだけ多く収集する

●顧問税理士や知り合い・友人の税理士に直接聞いてみる

●税務署にも聞いてみる

 

税理士もしくは税務署の回答・見解をできるだけ多く集め、みんな、あるいは大部分が同じ回答であれば、それが正しいとすればよいと思います。回答がバラバラの場合、最終的には自分で決断しなければなりません。いずれにせよ、最後は自己責任での決断が必要です。

 

税理士でも、税務署でも全て回答できるとは限らないのが税金の世界の悩ましいところ。とはいえ、多くの疑問については税理士は正しく回答することができるので、税理士を活用して正しい情報を得てください。

 

 

足立 武志

足立公認会計士事務所

 

※本記事は、2019年8月16日に楽天証券の投資情報メディア「トウシル」で公開されたものです。

 

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