米国株式市場は先週23日、米中貿易摩擦悪化の懸念で急落し、623.43ドル安の25,628.90ドルとなった。その結果、円が買われ一時104円台まで急進。26日現在、1ドル=105円半ばを推移している。円高には様々な弊害であるが、特に影響を受けるのは「外貨建て」の投資信託などに投資している人だ。円が急伸すると、資産が一気に目減りしてしまうリスクがある。どのように対処すべきであろうか。

円高で資産が「目減り」していく恐怖

投資においての基本的な考え方に「分散投資」がある。ひとつのバッグに卵をすべて入れてしまうと、落としたときに全部割れてしまうが、卵を分けて持っていれば全てを一気に失うことはないというわけだ。

 

この考え方に基づいて、外貨建ての投資信託を購入している人も多いだろう。しかし、円換算したときの資産を基準に考えると、円高の局面では、外貨建ての投資信託は資産が目減りしてしまう。

 

例えば、一口100ドルの商品Aを500口持っていたとする。これは50,000ドルの資産となる。これを円にすると、為替の違いで以下のように資産額が変わる。

 

1ドル=120円ならば、6,000,000円

1ドル=110円ならば、5,500,000円

1ドル=105円ならば、5,250,000円

 

1ドル=120円と105円では75万円の差がある。120円と105円では15円程度の差ではあるが、割合で考えると12.5%減少しているので、影響は少なくない。

 

ドル建ての投資信託を長期積立投資していて、順調にその数が積み上がっていっていても、円高が進むと資産は目減りしてしまうのだ。しかし、ここで狼狽して積立をやめてしまうのは悪手である。

下落局面で「たくさん拾う」のが長期積立投資

長期の積立投資において、価格の下落局面では「安く(多く)」買うことができる。毎月3万円ずつ積立投資するならば、その対象が一口1万円ならば3口買えるが、5千円に下落している月には6口購入できることになる。

 

「円高」だから、安く買える!?
「円高」だから、安く買える!?

 

外貨建ての積立投資の場合、円高は、為替の影響で「安くなっている」局面だと捉えることができる。長期積立投資では、20年、30年と期間を長く取れるほど、そのメリットは享受できるので、急激に円高が進んだからといって、「これはまずい……。資産がどんどん減ってしまう!」と狼狽せず、「安く買える時期に突入」と考え、ほったらかしにしておいたほうがいい。

20年、30年先のことなど「わからない」が…

外貨建て(特にドル建て)の投資信託は、「円」の下落に備えて、分散投資の一貫として行なっている人も多いだろう。そういう人が、円の上昇局面で「狼狽してやめてしまう」ということはないと思うが、それでも不安な気持ちにはなるかもしれない。

 

しかし、20年後、30年後のことなど「どうなるか、わからない」からこその長期積立投資や分散投資であって、これらは、そのリスクをなるべく減らすための投資法である。もちろん投資であるわけだからリスクはゼロではないが、何もしないで「円」という資産だけを持ち続ける、超低金利の日本の銀行に預金し続けるのとどちらのリスクが高いか? 自身の資産を守るために、選択肢としては知っておいたほうがいい。

 

超少子高齢化で「日本経済の未来は暗い」という意見が一般論のようになってしまったが、幸いなことに、日本にいても世界経済に投資する方法はたくさんある。もちろん、日本人が日本に投資しないことで、日本経済の落ち込みが加速するという考え方もできるが、そのあたりも踏まえたうえで、自身の資産運用を計画すると、より深みのある選択ができるかもしれない。

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