売却のタイミングによってコストも変わってくる
前回に引き続き、任意売却物件で成功するための出口戦略について見ていきます。
【失敗しない売却術3―売却の手順とコスト】
実際に売却する際の手順について紹介しておきましょう。賃借人がいる状態で売却をするケース、賃借人の退去が決まった後にリフォームして売却するケースなどがありますが、それぞれの場合の手順やコストは大きく変わってきます。代表的に2パターンを簡単に紹介しておきましょう。
まずは現況の状態、周辺地域の利回り調査から・・・
●オーナーチェンジとして売却する場合
1.現況のチェック
外装などの現況を確認して修繕などが必要かどうかをチェックする
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2.キャッチプレートの調査
周辺地域の標準的な利回りを調査しておく
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3.不動産会社を探す
できれば投資用不動産の仲介に慣れている不動産会社に依頼することが大切
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4.査定額、売却価格の算出
不動産会社などと協議して、売却物件の査定額を算出してもらう。住宅用不動産の場合は、周辺の取引事例を参考にして算出する「取引事例法」で算出するのが一般的。一方の投資用不動産の場合は、収益から算出する「収益還元法」を合わせて算出する場合が多い。査定額などを参考に、売却価格を算出する。投資用不動産の場合は「年間の家賃収入÷標準的な利回り」で算出する方法もある
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5.修繕積立金、管理費の滞納に要注意
これらの経費の滞納があると、新しい買主に引き継がれてしまうために、最低でも決済時に清算することが大切。ちなみに、賃借人から預かっている敷金や保証金などの継承については、地域により、その慣習が異なるので、事前に確認する必要がある
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6.売却先の決定
価格交渉などを経て売却が決定。買主がついた段階で、賃借人(借主)に所有者の変更を通知する書類を送付する。書類は不動産業者が持っているため心配は不要だが、敷金や保証金の返還などの手続きについても明記しておく
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7.売買契約を締結
正式に売買契約を締結。不動産会社に仲介手数料を支払うことになる
【不動産売買にかかる仲介手数料】
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8.ローンを借りている銀行に連絡
売買契約成立後、すぐに融資を受けている銀行に連絡して、売買価格はいくらで、ローンを清算する希望日時を伝える。必要書類などをそろえてもらう
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9.所有権移転の登記
通常、不動産価額の1000分の20が必要。投資用不動産の登記では住宅の軽減措置などが受けられないので要注意
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10.譲渡所得税の確定申告
5年以内に売却したのであれば短期譲渡所得税、5年超であれば長期譲渡所得税がかかる
次回は、賃借人の退去が決まった後にリフォームして売却するケースについて見ていきます。