「投資先の分散」は投資信託に任せよう
お金を増やすための資産運用にとってもっとも大切なのは「長期・積立・分散」です。ただ、「長期」で「積立」をするというのは心構えがしっかりしていればなんとかなるにしても、「分散」投資はとても大変です。なぜなら、日本だけでも上場株式会社は3,600社以上あり、さらに、海外も合わせた数から成長する会社を見つけ出すのは非常に困難です。また複数の会社に分散投資をしようとすると、とても大きなお金が必要です。
では、どうしたらよいでしょうか? 投資の手法はさまざまありますが、まず初めての資産形成であれば、投資信託の活用がお勧めです。投資信託とは、次のような金融商品を指します。
【投資信託】
「投資家から集めたお金をひとつの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品で、その運用成果が投資家それぞれの投資額に応じて分配される仕組みの金融商品」のこと。(一般社団法人 投資信託協会のサイトより)
少し難しく感じますが、資産運用の専門家が皆さんに代わって投資を行い、その成果を分配してくれるとても便利な仕組みです。専門家が運用を代行してくれるので、皆さんは特に専門的な知識を持つ必要はありません。良い投資信託を「選ぶ力」を養えばよいだけです。
基本の6つの投資先を理解する
投資信託は、「投資先」で分けることができます。国内株式、国内債券、先進国株式、先進国債券、新興国株式、新興国債券の6つは、基本的な投資信託の投資先です。このほか、日本と外国の不動産に投資するものや、金(ゴールド)や原油といったコモディティに投資をするものもありますが、まずは基本の6つの投資先を理解できれば十分です。金融機関が用意している投資信託のパンフレットにも「主な投資対象」が記載されているので、必ず確認しましょう。
分散投資は、リスクを低減させるのに有効
投資信託は、それ1本でも分散投資が可能です。例えば日本の株式に投資する投資信託は数十社から数千社もの会社に投資をしています。しかし、これだけだと日本全体が不景気となれば、成長は見込めません。「分散」が足りないのです。
長期・積立・分散投資では、国内、先進国、新興国の株や債券に分散して投資することが大切になります。したがって、図表にあるような「投資先」の異なる投資信託を組み合わせて、さらに分散の効果を高める必要があります。
リターンを得るには「リスク」を取らなければ…
それぞれの投資先のリスクとリターンはバラバラのように見えますが、過去の実績を見ると相関関係があり、リスクを低減させる組み合わせが、長きにわたって金融について研究されてきた結果わかってきました。
ほとんどの方は、「リスクが怖いから投資はイヤ」とおっしゃいます。私たちの暮らしの中で、リスクといえば危険という意味なので、条件反射的に怖いと思ってしまいますが、お金の世界においてリスクとは不確実性という意味です。投資したものの価値が上がるかもしれない、下がるかもしれない、どうなるかわからない「不確実性」をリスクというのです。
反対に、リスクがないということは「確実性」があるということです。したがって、リスクをゼロにすると、確実に儲けが出ない、損をするというのと同じ意味になってしまいます。あくまで言葉遊びにすぎませんが、「リスクが怖い」はそろそろ卒業してもいいのではないでしょうか。
注目は「価値が上がる」可能性もリスクという点です。損をするからリスクというのではないのです。つまりリスクとリターンというのは、2つで1つ、表裏一体のもので、リターンを得るにはリスクを取らなければならないという意味です。次回の記事からは、投資におけるリスクについて詳しく見ていきましょう。
□分散投資は投資信託を利用しましょう
□投資信託を選ぶポイントを覚えましょう
□リスクの意味を正しく理解しましょう
山中 伸枝
株式会社アセット・アドバンテージ
代表取締役